美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H506

 実は世界の趨勢を決める戦いとかしてる聖女ちゃんとベルちゃん。どちらも助かるなんて道もあるのかもしれないけど、ベルちゃんにはその気は無い。向こうは聖女ちゃんを殺す気満々だ。そして聖女ちゃん側の戦力もベルちゃんを危険分子として排除しようとしてる。今でもなんとかベルちゃんを救おうとしてるのは聖女ちゃんだけだ。
 実際、頑張って声を掛けてるけど……それが一つ一つベルちゃんのイラッとポイントを積み重ねてる。和解から遠ざかってる様に思う。それに聖女ちゃんは気づいてないのか……気づいててもそれを止めてしまったから、後はもう戦うという行為でしか決めるしかなくなるからなのかもしれない。
 そうなったらどっちかが倒れるまで戦うしかない。

「聖女ちゃんには本物の聖女として伝説を残して貰いたいけど……どうだろう」

 私だったら面倒だから倒せる力があるのなら、倒すよね。当たり前である。私は面倒な事は嫌いなのだ。けど聖女ちゃんは本当にその心が聖女してるからね。彼女が本物である……真の聖女なら、ベルちゃんのような子まで浄化できなくては……とか勝手に思う。そういう展開の方がわくわくするじゃん。
 私、エンターテインメントを求めてるからね。ここに軽食でもあれば!! お菓子とかさ! そこらへんゼンマイは気を利かせて欲しい。大体五月蠅いくて寂しいんだよこの場所は。神とは皆、こんな何もないところにいるんだろうか? だからこそ、鬱々とした気持ちになって『世界』で遊んでるんじゃないの? そんな気がする。

「あんたの力じゃ、私の支配から解放することは出来ないわよ」
「こんな……皆さんの意思をゆがめるような事間違ってます!」
「なに? 私を崇めるのは間違ってて、アンタを崇めるのが正しいとでも言うつもり? ずいぶんな自信ね聖女様は」
「そんなつもりじゃ……」

 聖女ちゃんの言葉にベルちゃんは嫌みでもって毎回返してる。まあただの本心なんだろうけどね。ベルちゃんの根源にあるのは一番だ。彼女は一番でないと気が済まないタイプなのだ。さすがは女王だっただけある。
 私も可愛さで一番でないと気が済まない。私よりも誰かが可愛いとか言われてたら、思わず天罰を与えるかもしれない。まあ宇宙一可愛い私以上の存在なんて居ないんですけどね。それがわかってるから心の平穏を保ててるわけだ。
 けどベルちゃんは一度聖女ちゃんに全てを奪われた。いや、聖女ちゃん本人にその自覚はないだろうけどね。所謂逆恨みだし……けどそれでもベルちゃんにとってはそれが真実。だから聖女ちゃんの事を許せない。
 このそもそもが理不尽な心をどう解きほぐすのかな?

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品