美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H500

「そうそう、やりましょう。聖女は世界に二人も入らないわ。私が貴女の代わりに聖女になってあげる。だから後顧の憂いなく逝きなさい」

 湖の周りに展開した沢山の軍勢を観てもベルちゃんは怯むことなんかない。寧ろ嬉しそうです。

「皆駄目です! 私に任せてください」
「駄目です。聖女様はお下がりください。あの方の狙いは貴女です。私たちに祝福を! あれはもう、黒の沼に堕ちたのです。そう説明すれば、皆が納得します!!」
「そんな、皆に嘘をつけというのですか?」
「あの方は姿人間ですが、その心は貴女とは違って沼のように腐ってます!」

 多分今聖女ちゃんと話してるのが、ここに来てる中で一番偉い聖騎士なんだろうね。イケメン君である。いや、聖騎士は何か皆イケメンなんだけどね。何でだろうね。なんか聖騎士になるとイケメンになるみたいだ。魔法の力恐るべし。だからか、聖騎士は聖女ちゃんのハーレム……なんていう輩もいる。
 まあね……見方によってはそれは間違ってないと思う。実際聖女ちゃんが本物の聖女じゃなかったら、全員と寝ててもおかしくない。そしてその中身……というか聖騎士達の間は誰が聖女ちゃんの一番かでドロドロにして、聖女ちゃんは実はそれを利用してる小悪魔……みたいになってもおかしくはない。
 おかしくはないんだけど、残念なことに聖女ちゃんは本物なのだ。その心は本物の聖女で、そしてその魂は私でも眩しいくらいに光り輝いている。実際あの子の魂が世界に還元されれば、私のエネルギーの一部にもなるわけで、期待しかないわけだけど、でも、だからって死を願ったりはしない。なにせ天で……というかこの宇宙を見守る場所で見守ってると、下界と呼べる宇宙空間とは時間の進みが違うからね。
 人の一生なんてここからならあっという間なのだ。意識してないと次に観てみたら何か世紀変わってない? 位経ってる。世界はどうやらこの場所に関連付けられてはなくて、生み出したものの意識で時間の流れは変わってる気がする。意識を向けてるとその世界は見やすく進むし、意識を向けてないと、何か一気に進んでる。

 もしかしたら時間という概念はその神の気分だったのかもしれない。だからこそ、そこで生み出された者達にも気分によって時間が長く感じたり、短く感じたりするのかも? 良くわかんないけどね。

「ふふ、腐ってるのかもしれないわね。でもそうね。良い事聞いたわ。その案は貰いましょう。私だけが帰ったとき、その時の言い訳として貴方たちは沼に犯されておかしくなって互いに殺し合った……聖女は浄化を成し遂げ……は気に入らないから、浄化は出来ずにその心を黒く染めて、聖騎士達を使って軍を殲滅、その後に同士討ちを始めたことにしましょう。
 そして私はなんとか貴方たちが乗ってきた船を使って帰還。このモンスター大陸は私の力で再び攻略をしてそして私が新たな聖女へとなるのです」

 盛大な想像を楽しそうに語るベルちゃん。どうやら聖女ちゃんの地位も名声も全て自分のものにする気満々みたいだね!!

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品