H492

　女王様がモンスター大陸に行ってる間にどんどんと聖女ちゃんの影響力は大きくなってた。そんな中、女王様がモンスター大陸へと渡って戻ってきてないと、女王様の国からそんな知らせがもたらされた。一応聖女ちゃんと女王様は面識ある。
　それにあの女王様は外面はとても良かったから、すぐに女王様を救出しに行こう！　――という風に聖女ちゃんはなってた。それを止める奴らはいない。なにせ聖女ちゃん達の活躍によって、人間大陸の方はかつての平和が取り戻されて行ってた。
　更にモンスター大陸まで浄化できたのなら、単純に人々が住める土地が広がるしね。今や大量の沼のせいで、モンスター大陸は不毛の大地になってるが、それも聖女ちゃんの浄化の力でどうとでもなる。むしろ豊穣がもたらされると分かってる。
　なら希望しかないだろう。聖女ちゃんが女王様の救助隊を募れば、瞬く間にこれまでで最大の数の軍隊になった。それは各国の兵が集ったこれまでにない規模だった。十万くらい？　多分そのくらいはいると思う。　でも問題はその軍隊の移動手段とかだよね。なにせ大陸間には海がある。そして海にもモンスターも居るからね。そしてあんまり大きな船の技術なんてのはない。精々、中型船くらいなんだよね。かつてモンスター大陸から逃げたときはそれほど人口も居なかったし、人間大陸の方では大陸内部で色々とあった。てかモンスター大陸の方からモンスターがやってくるから、内陸の方に行くしかなかったというのがある。
　だから船の技術自体が発展してない。はてさてどうやってこれだけの大軍をモンスター大陸へと渡らせるのか……小さな小舟で……なんてのは効率悪すぎると思うけど……一応中型の規模の船くらいは作れるみたいだけど、それでも十万の兵力の移送には全然足りない。

　なのでここでも聖女の奇跡である。まずは先遣隊が浄化の像と共にモンスター大陸に渡り、丁度良い場所に像を設置する。するとそこを拠点に聖女ちゃんが転移を使うという物だ。なんと聖女ちゃんは転移が出来る様になってた。彼女の像が各地に設置されてて、最初はとても恥ずかしがってた。けどある日、彼女は何か気づいたのだ。各地に設置された像と自分との繋がりに。

「なんだろうこれ？」

　と聖女ちゃん自身も不思議がってたが、祈ってみると、なんか一瞬で思い描いた像の前にいた――勿論いきなり聖女ちゃんがいなくなったその場所は大騒ぎだったけど、すぐに連絡を入れて事なきを得てた。祝福を授けた物とは心で会話が出来るみたいな？　女王様にも聖騎士が付いてたからそれならそいつらから情報を得てないのかと思うけど、そいつらはあっという間に黒い人によって殺されたからね。色々と報告することも出来なかったみたいだね。
　まあそんなことよりも転移である。それで転移できると言うことを発見して色々と研究してたのだ。そして像に集まる信仰心が聖女ちゃんと像を繋げてると判明した。どうやら信仰心なる物が彼女を模した像に貯まってるみたいだ。信仰心はプライスレスではなかったらしい。
　驚きである。まあそんなわけで先遣隊がモンスター大陸ヘと像を持ち込めば、そこを拠点に転移が使える筈である――と言うことだ。