美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H488

 何か私が星の種の解析を始めてると、星の方では動きがあった。どっかの国の女王様がモンスター大陸へと行ってたのだ。なんのために? と思ったら、なんか自分も聖女になりたかったらしい。けどそんな簡単に聖女になれるはずもない。それに慢心もあったんだね。あの女に元から女王の自分が負けるはずが、負けてるはずがないって言う慢心。そう言う事じゃないんだけど、あの人の中ではそういう事だったんだろう。
 それに人類が快進撃を繰り広げてるのも慢心の理由だったね。勝利が続くと人はその脅威を下に見始めたみたいた。なにせ聖女ちゃんが沢山の沼を浄化した。それによって人間大陸の方では確かにモンスターの脅威度というのが下がってるからだ。
 そうして余裕が出てきたから、余計な事をしたくなったんだろう。一つのことに向かってるときはそれしか出来ないし、何よりも優先することで一致団結できてた。でも余裕って奴はそれに亀裂を入れるのだ。いや、余裕が出来るのは別に悪いことじゃない。
 とても喜ばしいことだ。でもそれを生産的に使うかは人に寄るって事だね。そして女王様は自分の名声を高めようとしたって事だろう。一応何の策もなかったわけじゃない。なにせ聖女ちゃんは一人しかいない。その聖女ちゃんに全ての負担を押しつけてるって思ってた信者の人達が、聖女ちゃんの力を分配する術を開発してた。体に術式を刻むんでそれに聖女ちゃんが祝福? を与えることで聖騎士を作れるって奴だ。
 なのでそれを何人かの騎士に施して(勿論強制)モンスター大陸までやってきたのだ。聖騎士へとなった騎士はモンスターにたいして特攻的な力がある。なんかその魔法に聖女ちゃんの浄化の力が宿るようだ。でもなんか使いすぎると骨も残らずに灰になるって言うね……それがリスクらしい。けど聖騎士になる人は沢山いるみたいだ。なにせ聖女ちゃんに近づけるって言うのが大きいね。
 皆の憧れだからね。

「私もすぐにそうなるわ」

 とかなんとか女王様は言ってた。けど……いくら聖騎士を連れてきてたと言っても、モンスター大陸と人間大陸ではモンスターの量が圧倒的に違った。そもそもが海を越える時点でかなりの兵力をなくしてた。その時点で引き返すべきだった。それでもなんとかモンスター大陸へと渡って、モンスター大陸最大の沼を浄化を目指してるみたいだ。
 でもそれなら絶対に聖女が必要だろうと思うけど……彼ら的には聖騎士だけでも理論上は可能――という判断だったんだろう。けどなんとかかんとか彼らはモンスター大陸の奥深くにまではたどり着いてた。

(おかしい……)

 私の見立てではさっくりと彼らは死んだはずだ。何せモンスター大陸にはモンスターが溢れてる。一歩進めば百体のモンスターに出会うくらいには飽和状態だ。それをどうにか出来るか……無理ゲーである。なのに彼らは進んで沼まで行き着いた。明らかにおかしい。
 何かの意思を感じるね。

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