美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H481

「貴女は……女神様? 女神様ですよね?」

 私たちは光りの中向かい合ってる。戦場を飛び回ってた彼女は死をきっと覚悟してただろう。なにせ敵のど真ん中に落ちてしまったし、まさに襲われる五秒前くらいだった。そこに光りと共に現れた見たこともないほどの美少女。まあ女神と思うだろう。
 でも私は肯定も否定もしないよ。てか声を発しない。ただニコッとする。それだけで彼女の顔が赤くなった。あらあら、私の笑顔はこの世界の人達には刺激が強すぎたかも知れない。そういう初々しい反応……嫌いじゃないよ。私は掌に光りを集める。光りの中、別種の光りが見えてるだろう。そしてそれはゆっくりと私の手から離れて彼女の方へと進む。そして彼女の胸へと触れると、吸い込まれるようにきえていった。

「これは……凄く……暖かいです。聞こえて来ます、女神様のお声が……」

 え? 私は別に何も言ってないが……この子大丈夫かな? まあけど私の事をリスペクトしてくれそうだしいっか。

「必ず、女神様の期待に添えて見せます。私を……いいえ、私たち皆を見守っていてください」

 そういう彼女の顔は美しかった。決意に満ちた顔……そして全ての人を愛してそうな優しい顔。まさに聖女だね……と思ったよ。当の私はそんな風に絶対に思えないけどね。心の綺麗さでは彼女の圧勝だろう。でも見た目は負けてないし! 寧ろ勝ってるし! とか内心思いつつ、私はこくりと頷いて空に戻っていく演出をした。まあ元々星に降りたわけじゃない。そういう演出を魔法的にしただけだ。だから声も出さなかったのだ。いやただ単に声を伝える方法がまだ分からなかったって言うね……それだけだよ。

 でも私がやったことはとても大きな事だったのは確か。光が消えて、その場には彼女が残った。光りが降ってきたことで戦場は一時的に止まってた。けど光が消えたことで、再び彼女は窮地に立たされてる。そこに再びモンスター達が襲いかかる。けど次の瞬間黄金色の光りが祈った彼女から発せられる。その光りを浴びたモンスター達が一気に消滅したのだ。その光景はまさに奇跡。その場にいた魔法使い達はきっとその光景を一生忘れることはないだろう。彼女はきえていくモンスター達の中を堂々と進む。より深いモンスター達の中に来て、更に祈るようなポーズをとると、その瞬間輝きはより強くなり、辺り一面のモンスターを消し飛ばした。

 その光景に一緒に戦って人達もぽかーんとしてる。まあ無理もないよね。けど少ししてから、誰かが言った。

「光りの……聖女様」

 その瞬間『聖女」コールがわきあがる。この瞬間、この星の歴史に残る聖女が誕生した。

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