美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H465

 そもそもが――だ。よく思い出してみたら、私があの星で最初に目覚めたとき、世界樹なんて物はなかったんだよね。いや、確かに世界樹を管理してる種によれば、世界樹自体はあったんだっけ? でもそれは苗木だった。苗木では世界を支えることは出来ない。魂の循環もそうだ。だからそのときは、世界に世界樹がなかったといってもいいだろう。でも世界はあって回ってた。
 つまりは……世界には必ずしも世界樹が必要って訳ではないと言うことだ。私の力になるからとても都合が良かったからね。いつの間にか絶対に世界樹が必要と思ってたのかもしれない。まああったほうが世界を安定させやすいってのはあるのかもしれない。

「むむむ……」

 私は知識の中から世界樹とか星の運営とかの事を引っ張り出す。実際は引っ張り出すとかそんな選択が出来たら簡単何だけど、ただ膨大な量の知識をちらっと見ては読み飛ばしてるだけだ。それらしい所を発見するまでが大変なんだよね。まあ私がうんうんうなってる間に、大陸が一つ消えてそして新たな大陸が出来たとしても、別に良い。
 神とはどうやら時間なんて物は気にしないみたいた。てか普通に私と星の時間が噛み合ってないからね。気にするだけ無駄なのだ。なんか星の時間はとっても早く進んでるみたいだからね。

「ふむふむ、やっぱり世界樹は安定させる為にあったほうが楽みたいだね」

 でもそれをやると、管理区域というかそういう星って見なされるみたいな? 神が干渉してる星の証でもあるらしい。むむむ……となるとやっぱり私たちが最初にいたあの星……あれは神の遊技場だったという事か? 自分がこっちの立場に来て、そうなんじゃないかって思ってた。
 なにせ世界の頂点に立った種には新たな星かプレゼント……なんてそんなこと神じゃないと出来ないし。早々に星を安定させたり、神の干渉を受けた生命を作り出すのに、世界樹というシステムは作られたみたいな? そんな風に知識にはある。でも……ゼルの方とはちょっと違うね。そもそもがアクトパラスとゼンマイも元はただの神のオモチャの一つに過ぎなかった訳で、この知識は何処で知り得たのか疑問だ。
 どう考えても誰かに教えて貰ったのは確実だろう。そしてその知識が本当に正しいか、ちゃんと分かってる? わかってなくても、その得た知識をもとにやるしかないよね? 間違ってたとしても、経験していくしかない。それにはやっぱり膨大な時間が必要で……面倒。
 それにゼルの知識と違うと言っても、そこまてま違うわけでもない。ただちょっと注釈がなかったり、説明のニュアンスが違ったりってことだからね。これはきっと機械的なゼンマイとゼルの性格の違いだと思わなくもない。

「結局の所、世界樹はどうしようか……」

 世界樹は魂を循環させる役割がある。それをつかって、神がその星の魂に干渉できるようになる――という神としてのアクセス権が世界樹にはあるらしい。魂を弄れれば、確かに自然発生を気長に待つよりも、星の生物をコントロールしやすいだろう。
 でもどうやら世界樹が出来た時点で自然的な発生が止まるみたいな? それかデメリットで、神の干渉無くして、世界の動きはないらしい。それはそれで面倒である。でも最初の一つくらいはしっかり管理してみるのも悪くはないのかもしれない。そしてそこの生き物をまた別の星にでもおくれば、簡単に知的生命体を増やしていける……かもしれないし。

「よし、世界樹を作ろう」

 私はそう判断した。だって時間に任せてたら、一体いつ知的生命体が出来るかわかんない。私は手っ取り早く力が欲しいのだ。

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