美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H461

 ゼンマイから救出してあげたドラコンのなり損ないである黒い何か。なり損ないだからただの黒い何かなのか……

(ママ、ありがとう……)

 感謝を言えるのか……やっぱり感情あるよね? ただ食欲しかないと思ったんだけど……

(お腹すいた……)
「おっぱいは出ないからね」

 前言撤回、やっぱり食欲の塊みたい。さっき銀河を食べ尽くしたでしょうが! それなのになんでもうお腹減ってるのよ。

「お前、それと会話してるな?」
「え? 今更?」

 何をいってるのかこのゼンマイは。さっきから見てたら分かるでしょうに。そう思ってると、なんか緑色の光りが奴の目玉から放たれて、私の体とドラコンのなり損ないを上から下まで走った。ちょっ!? いきなりなにするのよ。殺されるのかと思ったじゃん。実際には何の変化もなかったけど……ゼンマイとかがその気になれば、私なんて一瞬で宇宙の塵になるからね。 
 心臓に悪い。

「なにしたの?」
「少し調べただけだ」

 なんかスキャンてきな物をされたらしい。女の子を勝手に調べるとか……デリカシーが足りないぞ。そういう抗議をしたいところだけど、実際私とドラコンのなり損ないの繋がりは気になる。私はゼンマイにきくよ。

「それで?」
「繋がりはよく分からなかった」
「よくわからない? でも私にはこいつの声が聞こえるわよ?」
「そのようだな。私には聞こえない。お前の力は今は私とアクトパラスの物の筈なんだが……興味深い」
「じゃあこいつ、生かしておいて良い?」
「それを決めたのは貴様だろう。勝手にすればいい。それに……」

 そう言ってゼンマイの顔……というかその顔の部分に当たるケースに浮かんでるいくつかの目玉が一斉にこっちを向いた。普段は全部が同じ所をむくってことはないのに……一斉にいくつもの目玉がこっちを向くと気持ちわるいな。

「それはこの宇宙で最初に誕生したと言っても過言ではない生命体だ。まあ出来損ないではあるがな」
「なるほど。確かにそう考えてみればそうかも」

 なにせまだ星を成長させてる最中だからね。安定しないとその星に生命は生まれない。そういう意味ではこのドラコンのなり損ないはこの宇宙で初めての生命体というのも納得だ。生命として認めてくれた――と言うことなのかな? 良かったじゃん。なかなか運がある奴だ。運は大事だからね。

(お腹……空いた)

 うん、こいつ自体はんなのどうでも良さそう。てか、餌とかどうしよう……

「あ、そっか」

 こいつってドラゴンの出来損ないなら……そこら中にドラゴンの一部はあるじゃん。星の種にいくつかくっつけるとはいっても、沢山つけすぎるとこいつみたいに変な生物が誕生するからね。こんなのいくつもいらない。だから引き寄せたドラコンの欠片のいくらかを食べさせてれば良いのでは? うんうん、そうしよう。それで全て解決でしょう。

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