美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H452

 私は少なくとも質の面でアクトパラスとゼンマイを上回らないといけない。こいつらが大層に振る舞ってる間に泥にまみれて歩く……

(いや、それは私らしくないよね)

 泥にまみれる……なんて私ではない。私は基本、つらいことも疲れることも嫌いだ。私は楽しく楽に、てか毎日が楽しければそれでいい。甘い? いやいや、人生は楽しまないと意味は無い。勿論そこらの軽いギャルのように、完全に人生が楽しいで出来てるなんて思ってないよ。
 私だって一時期は人の上に立ってた者だ。大変な事くらいは経験してる。でもそれでも、人生を楽しむ姿勢って奴は忘れてないつもりだ。どんな状況でも人生を楽しむ……それはきっと大切なこと。だってそうじゃないと生きる意味が無い。

 私は確かに後悔してる。今私がひとりぼっちで敵であるアクトパラスとゼンマイにとらわれてるのは私の選択ミスだろう。それで私は全てを失ってしまった。でもだからってずっと後悔してうじうじしててどうする。そんなことしてても、状況は改善しないのだ。それにアクトパラスとゼンマイはそんな私を見て鬱陶しいとは思っても同情なんてする奴等ではない。寧ろ御しやすい……とか思われるだろう。そんなのイヤだ。
 寧ろこいつ厄介――とは思われたくないが、振り回すくらいはしたい。なにせ厄介と思われたら警戒されるが。美少女に振り回されたいと思うのは男としては本望だろうからね。だから私はずかずかいくのだ。勿論色々と見極めては居る。ある意味でまだわたしはアクトパラスとゼンマイの奴等をあんまり知らないからね。下手に地雷を踏んだら一瞬で肉片に……とかあり得る。

(うーん、銀河銀河……)

 やっぱりどれもこれも最低限、神クラスの力があって出来ることばかりが書いてあるね。私に与えられたら宇宙の知識はあんまり役に立ちそうにない。なにせ私には神クラスの力は無い。いや、今は世界樹もゼルの力もなくなってるから、寧ろ私は弱くなってる。ドラゴンたちが私の事を一瞥もしないのは、多分だけど認識してないんだと思う。奴等にとっては私の力ではここに居ること自体がおかしいんだろう。
 だから私の事をドラゴンたちは認識できない。しないんじゃなくて、出来ないんだと思う。きっとドラゴンたちにとっては私なんてそこらのゴミみたいなものなんだろう。ひざまずかせたい意欲が湧いてきちゃうよ。私は承認欲求とかが強いのかもしれない。
 いや、ただ単に「かわいい」と言われたいだけかもしれない。一人だとそんなの言ってくれる奴いないからね。アクトパラスとゼンマイもそんなん言いそうにないし……かわいいの承認不足なのかもしれない。

「ん?」

 なんか視界の端でちらっとキラッとした何かが見えた。私は周囲をよくみてみる。

「あれって……」

 使えるかもしれない。私はふふっと可愛らしく笑って見せた。

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