美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H445

 私は星をもらった。オモチャの星とかじゃないよ、正真正銘の一つの星、惑星である。まあけどもっと正確に言えば、星の種? 見たいな岩だったけどね。私の掌に収まるくらいの……小さな浮いた岩。まあ浮いてるのかどうかはよくわからない。なにせここは宇宙? の筈だし。
 てかこれが星だと言われても……そこらに川があったら投げて水切りをしてしまうそうな……そんな岩だ。

「これをどうしろと? てかからかってない?」
「私は冗談は嫌いだぞ」

 まあ確かに……ゼンマイの奴は冗談とか嫌いそうではある。イメージだけど……と、なればこれはやっぱり本当に星なのか? てか星が、手の中に収まるってどうよ? 私はいつの間にそんなに巨大女子になったのか……女の子は小さい方が可愛いと思ってるんだけど。

「銀河にその種を放り込んで見ろ」

 私はそう言われたからとりあえず星の種と言われた岩をアクトパラスとゼンマイが作った銀河に放り込んでみた。ゼンマイの反対側に立って私は銀河を覗き込む。銀河に放り込んだ瞬間、掌サイズだった星の種が歯のひとかけらになったような? 小さく見える。まあ宇宙なんて本当は広大なはずだもんね。それを管理しようとなると、まずは小さくして見やすくした方が良いのかもしれない。
 それが出来るのが多分神とかなんだろう。つまりはこいつらである。

「それで銀河に流したけどどうするの?」
「力を星の種に流し込んで見ろ」

 ふむ……そう言われたら私は力をさっき触れた星の種に送る。実際既に小さくなった星の種はそこらの小惑星とかと混ざってわかりにくいんだけど……でもなんか銀河に力を流し込んだら、勝手に星の種へと向かってくれた。いつの間にかマーキングでもしてたのかな? よくわからない。何の変哲も無い石に見えたけど、星の種と言うくらいだしそうじゃなかったのかもしれない。

「わっ、なにこれ?」

 驚いた。何か私が力を注いだら、星の種へと周囲の小惑星とかがくっついてきた。ゆっくりと進みながら、周囲の小惑星とかを引きつけてるように見える。まるで磁石にでも成ったみたいだね。

「そうやって星はおおきくなっていく」
「でもこのままじゃ、ただの岩の塊じゃん」
「みてればわかるぞ」

 なにやらゼンマイの奴は楽しそうだね。とりあえず私は銀河を眺めることにした。こうやって簡単に眺めるとか言ってるが、私が眺めてるのは広大な銀河だ。小さな岩を一つとらえるのは難しい――筈だけど、なんか見えるんだよね。てか思ったところが視界に拡大されるような……そんな感覚だ。だからこの銀河ではまだゴミくずみたいな私の星だってちゃんととらえることが出来る。
 便利な機能が神にはあるね。そう思ってると、いきなり私の星が進路を変えた。今までは投げ込んだまままっすぐに進んでたのに何かに引き寄せられるようにグニッと曲がった。その先には私の星よりも大きな岩が……向こうもどうやら沢山の岩をくっつけてるみたいだね。
 そう思ってると私の星がそれにぶつかった。そして二つの岩が一つに……ってなんか力が通りづらいぞ。

「ここで神の出番だ。その岩はアクトパラスの力が宿っている。貴様の力でおおい尽くさないと、お前の星は取込まれるぞ」
「なぁ!?」

 なるほど、これが神の星取り合戦なのね。まあ今はアクトパラスの奴はドラゴンと戯れてるから、私が力を注ぎ続ければどうにかなるでしょ。私はそう気楽に考えてた。

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