美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H444

「ねえねえ」
「なんだ?」
 
 私はドラゴンたちとアクトパラスの戦いを見てない、いや気にしても居ないようなゼンマイに声を掛ける。細いドラゴンと緑のドラゴンとアクトパラスの戦いはドッカンドッカンと五月蠅いが、どうやらゼンマイが安全な領域を展開してるようで、私や作った銀河には影響はない。だからくつろぎながら眺めてたけど……やっぱり私は女の子。バトルを眺めるのには飽きてしまった。
 そんな物よりも映画とかアイドルとか出して欲しい……でもここには何もない。何もないのなら、作るしかないじゃん。でも今の私にはそんな権限ないし、手助けしてくれてた仲間はもう一人も残ってない。ゼルはいるが……今は居ない。この宇宙のどこかに居るだろうけど、姿は見えない。まあそもそももう話をすることも出来ないんだけど……

(ゼルから託された物を色々と調べても良いんだけど……)

 いかんせんよく分からない知識過ぎた。多分だけど、前提の知識が私には全く足りないんだと思う。そもそもがドラゴンと言う存在が謎なんだよ。普通の生物は星という世界に生まれてそしてそこで生きて死んでいって輪廻を回るんだけど、ドラゴンは違うらしい。ドラゴンは宇宙単位というか……スケールが元から違う。
 私たちが星を住処と思うように、それがドラゴンにとっては宇宙なのだ。そもそもかドラゴンってどうやって生まれるのか……物語なんかではドラゴンの卵とか出てきたりするけど、宇宙で生まれるドラゴンの卵って何? どこかに漂ってたりするのだろうか? よくわからない。それにドラゴンが宇宙の調整役的な何かなのもなぞだし……なんかドラゴンの生態とその身に宿るエネルギーが関連してるなんちゃら……と伝わってきたけどわからん。なので色々な話は時折アクトパラスとゼンマイや、今戦ってるドラゴンが虫の息にでも成ったときに聞くことにしよう。
 流石に死ぬ直前には色々と教えてくれるかもしれないしね。でもこいつらの戦いはいつ終わるのか予想が出来ない。そもそもが宇宙を作り出せる程のエネルギーを持つアクトパラスに挑んで戦い続けられるのがドラゴンという生き物だ。力の総量が馬鹿らしく多いんだろうね。
 細っこいドラゴンは数十体居るが、緑のドラゴンは今はまだ一体。追加もこない。それでもアクトパラスと細いドラゴンを相手にして一番余裕があるように見える。てかあの緑のドラゴン……防御力がえげつない。だってよけたりしないもん。寧ろ全部受けてる。

 そしてそれを意に返してない。あれを追い返するのは骨が折れそうだね。どのくらいかかることやら……まあこいつら全員時間の概念がぶっ壊れてるからね。きっと百年経っても昨日のことか――くらいの感覚だ。エネルギーが馬鹿多いことで戦闘期間もおかしな事に……いやバグってると言って良い。

 そんな中、私だけ暇で暇で仕方ないとかイヤだし……それに百年……千年……私はただ眺めてるだけでは成長できない。成長できないとこの状況を打破することは出来ない。だから行動を起こすのだ。

「せっかくだし、私も星を作ってみたい。銀河とか言わない、私に星一つ頂戴」
「ふむ……まあいいぞ」
「やった」

 そんなこんなで私は星を一つゼンマイからもらった。あれ? でも前はその世界でナンバーワンになったら星を与えられるほどに貴重な物だったような……まあいいか。これで私も一国一城……いや一星一城の主だね!

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