美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H442

 爪を研いでいくのはいいけど、今の私の力の大部分はアクトパラスとゼンマイの力って事が懸念だね。いざというとき、当てに出来るか……と言うとまず出来ないよね。いつ取り上げられるか分からない力に頼り切るなんてのは危険なのだ。でもだからって他に何があるか……といわれると……ね。別に何もない。
 そもそもがこの宇宙が全てアクトパラスとゼンマイの支配下だし……支配下というか創造主だし……一応私も関わってるけど……そもそも許可って何だったんだ? そこらへん、じぶんでもよくわかってない。でもなんか出来たらしいからね。そう思ってこの真っ暗な空間でふわふわと漂ってると、なんかビシッとこの宇宙には似つかわしくない音がした。

「なに?」

 そう思って体を起こすと、宇宙の一部が割れて……というかなんか口がみえた。なら食われた? いや、宇宙を食われるってなに? 私の常識というか、概念? というか、アクトパラスとゼンマイに引っ張られてきてからおかしくなってる気がする。あー宇宙って食べられるんだぁ――って待て待て……

「ドラゴン?」

 宇宙を食べて入ってきたのはゼルとはまた違ったドラゴンだ。なんか灰色だし、ほそっこい。ゼルはがっしりとした体してたけど、なんかやけに首が長くて、スマートなドラゴンがやってきた。

「きたか」
「本当に目敏い連中だ」

 アクトパラスとゼンマイは落ち着いてる。私はそれなりにびっくりしてるんだけど……なんか二人は分かってたらしい。そう思ってると、なんか頭に声がきこえてくる。

『我らがこの宇宙に居座ってやろう。それによって宇宙の循環の理が築かれる』

 我ら? そんなことを思ってると次々と同じ方のドラゴンが出てきた。出てきたというか、どいつもこいつも宇宙を食い破って入ってきてる。お前等不法侵入って言葉知ってるか? といいたいね。言えないけど……今の私はアクトパラスとゼンマイの人形というか? 所有物みたいなものだし。

「はは、ゼンマイよどうする? こいつらでいいのか?」
「まさか。ふざけるなアクトパラス。こんな真っ先に現れるようなドラゴンなど、宇宙に居場所がない奴等なのは明白だ。我らの宇宙に木っ端のドラゴンなど相応しくなど無い」
「ああ、そうだな」

 なんか二人はこのスラッとしたドラゴンたちでは不満があるようだ。まあ確かにかってに部屋に押し入ってきた……というかドアを壊してやってきたみたいな不法者達だからね。そう考えると御免被るよね。まあ、なんか私の感覚とはアクトパラスとゼンマイのこのドラゴンを受け入れてない理由は違うようだけど……

「貴様ら、我らを侮辱するか? 宇宙の維持には我らドラゴンの力が必要とも知らぬのか?」
「貴様らでは我らの宇宙には相応しくないと言ってるんだよ」
「なら、その身をもっと確かめてみるがいい」

 なんかアクトパラスとドラゴンの戦いが始まった。うわー巻き込まれないようにゼンマイの近くに行っとこ。

「美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く