美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H441

 はてさて、宇宙が誕生して一体何年の年月が経ったのだろうか? よく分からない。なにせここに居たら時間の感覚という物が生まれないというか……いやー神様って暇なんだね。

 真っ黒な空間には銀河という光りだけがぽつんとある。それを覗き込むのはこの宇宙の神であるアクトパラスとゼンマイだ。宇宙を作って銀河を作って、そして命を与えたのはよかった。
 けどどうやら命って別に私たちみたいな知的生命体をいきなり造り出すって訳でもないんだね。命と言ってももっとスケール的に大きい? 小さい……うーん判断に困るところだった。なにせ私たちはどうやら星に命をやどした? みたいな? そういうととても大きな事のように思える。
 けどその星には別に何かが居るわけじゃない。一応微生物みたいなのは居るようだけど……なにせできたての星で宇宙である。まだまだメッチャ荒れてる。とてもじゃないが、ここに私が思い描いてるような生物たちを放り込んでも……とてもじゃないが生きていけないだろう。そもそもが無造作に命を与えたわけだけど……それがなかなか宇宙に定着しないらしい。
 命とは育む物だ。与えただけで終わりじゃない。でも過酷な宇宙、過酷な星……そして不安定だからか、星も何か崩壊したりしてる見たい。

「なかなか銀河としても安定しないぞ」
「普通は一つの宇宙を複数の力で作ることはないので、不安定さがましてるのかもしれない』

 アクトパラスとゼンマイは互いに話しながら常に銀河を監視してる。危ない星に介入したりして、なんとか銀河にもっと命を生み出そうとしてる。けど……それが上手くいってない。そもそもが星の成長なんて何兆年みたいな単位じゃん? まあ奴等は神だからね。この宇宙の法則なんて奴等に取ったらちょちょいのちょいなんだろう。
 本当なら何兆年も時間を掛けてやるような変化をあの銀河には起こしてる。でも私の感覚では流石にそこまでの時間は経ってない。いやだって……何兆年もこんななんの場所になんか居られないし? もしかしたら既に何年かくらいは過ぎてるのかもしれないが、流石に何兆年はない。
 私は最初に銀河にちょっとだけ私の因子を混ぜただけでそれだけだ。後は何もしてない。だから結構暇だ。一応アクトパラスとゼンマイの力に馴染んだから、それを使いこなせるようにはなった。そして勿論、別の宇宙の記憶と力をどうやって取り戻すか……とか色々とやってる。
 流石にいつまでも裸で居るわけには行かなかったから、力を使って服を生み出してみた。ワンピースで下着もないが……一応私もこの世界ではそれなりに特別な存在かもしれない。
 何かを生み出すって事が出来るんだからね。既にアクトパラスとゼンマイは私の事眼中にないようだけど……ありがたい。せいぜい寝首をかかれるまで、自分達の宇宙の世話をあくせくしておけばいい。こっちはこっちで静かに爪を研いでおくよ。

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