美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H431

「かはっ……」

 私は口から血を吐いた。どんどんと体にアクトパラスとゼンマイのマナが満ちてる。これ以上は流石にヤバいか……腕も足も既に緑になって、胴体にまで浸食してきそうだからね。このまま心臓にまで色が達したら、どうなるのか……いやマナは既に全身を巡ってるはずだし、変わりなんてない? わかんないや。
 てか普通はそれまで耐えられない。だって全く別のマナは毒なのだ。でもなんか私は結構耐えてる。この体……そもそも高性能だからだろうか? 神の器らしいからね。別のマナと馴染む素質があったのかもしれない。でもこのまま取込み続けて、私のマナが完全になくなるのはまずい。そうなったら私は、私という姿のまま別の存在になってしまうかも? いやわかんないけど……

(わかんないことだらけだよ……)

 とりあえずせっかく取込んでるマナだ。何か使えないか、私は簡単な魔法を発動してみる。こういうときも一応魔法を学んでいて良かった部分だ。
 勿論全然詳しくなくて初期の初期部分しか学んでないが、それでも明かりをともすくらい出来る。私は体内のマナを意識して……そして指先に明かりをともすようにやってみた。

「うっ……」

 その瞬間、メッチャ気持ち悪くなった。吐きたい……けどここで吐いたら地獄絵図が待ってる。なにせここは狭い空間だ。私はアクトパラスとゼンマイの世界樹に捕まってる。根の檻の中だからね。匂いとか逃げ出す場所がない。
 私のこの体は殆ど汚い物を出す頻度が低いけど、まあ出た物は……ね。普通だし。汗や涎とかはとっても甘かったり……いや尿も一部の奴は美味しいとか言ってたっけ? なら吐いた奴ももしかしたら良い匂いが……

(いや、喉の奥が酸っぱいよこれ)

 うん、多分地獄絵図になるのは確定的だから我慢しよう。私はなんとか耐えきった。

「何だったの今の?」

 私は胸に手を当てて目を閉じる。そしてマナを感じてみた。今、私の体の中では既存の私のマナと取込んでる世界樹のマナが反発し合うようにある。魔法を使おうとしたとき、この世界樹のマナだけを使おうと想ったんだけど、なんかグニャリと体内でマナがまぜあわさたっような感覚があったような? 気がした。
 この気持ち悪さの原因はそれかもしれない。でもなんで勝手に混ざるのか……私はもう一度チャレンジするかメッチャ悩む。

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