美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H429

『ふん、そうか。何をしてるのかわからないが、だが狙いはわかるよ。その力、託したいのはラーゼだろう? なら手っ取り早い。彼女はすでに手の内だ』

 ゼンマイはそういって私に絡まってる世界樹の蔦を操り出した。私の体を這いずり回る蔦。ちょっ!? どこ弄ってるのよ!! とか言いたくなるが、そんな場合ではない。汗だくだし、髪とかもボサボサになってるのは不本意だが、ここはされるがままにされつつ、私は静かにさっきスナフスキンの巫女から言われたことを考える。
 どうやらタイムデスケーションから出される星の記憶とかは時間も距離も空間も関係ないとのこと。けどそれってどうやって取り込むの? 普通にさっきまでは私まで届いてたからそれで取り込んでた気になってたけど……すでに結構離されてる。でも私はすでにアクトパラスとゼンマイの世界樹に争う力はない。てか、今気づいたけど、私の力吸われてない? くっ、こっちも吸ってやるもんね! 確かに別のマナは毒でしかないけど、嫌がらせくらいしてやる!! そしてもちろんタイムデスケーションが溢れさせてる記憶だって……

(でもマジでどうやるのかわかんない……)

 それである。スナフスキンの巫女は簡単そうにいったけど……いや、謎だからね。そうこうしてるうちに、私の力で作ってた服は維持できなくなって、素っ裸になっちゃうし……身体中を蔦が這い回ってくるし、さらにその外側を根が球状に覆ってきた。どんどん視界がなくなっていく。

(いや、視界さえももういらないんだよね)

 それでも記憶はきっと集めることできる。ただ方法がわかんないだけだ。私は落ち着くよ。すぐに根は私の姿を包み隠す。真っ暗になった。どうなってるのか全然わかんない。

『恐れる事はないさ。お前を通してゼルラグドールを使い別の宇宙へ道を開くだけだ。そして私たちは真の神へと至る』

 ここでゼルの名前が出るとは……てかそもそもゼルってなんなのかよくわかってないんだよね。あいつも自分のことはあんまり話さないし、そもそもいつも眠ってるニートだからね。ゼルがいたら別の宇宙への道が開けるんだ……そもそもが宇宙は膨張し続けてるとかじゃなかった? 宇宙の外には宇宙があるんだし、ずっと進んでたら別の宇宙ではないのか? 
 わからない。

(でも待って、別の宇宙にまでいったとして、そこでもここの星の記憶持ってこれるの?)

 ふと疑問に思った。確かにスナフスキンの巫女は時間も空間も距離だって関係ないっていった。いったけど……特別なことをして行った先まで関係ないといえるだろうか?

(ちょっと、そこら辺どうなの?)

 私は頭の中でスナフスキンの巫女へと語りかける。けど……すでに彼女の声は届かないらしい。外もどうなってるかわからないし……もう私はゼンマイの手の内。囚われのお姫様なのだ。そして王子様はいない。
 私は自分自身でどうにかしないといけない。これ……どうにかできるのかな? 不安しかないね。

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