美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H405

 エデンは上昇を開始した。雲を抜けるまでが勝負だね。それまではどんどんと雷に近づいていくから、雷の集中砲火を浴びることになる。さっきから音と衝撃が凄い。一応皆には激しく揺れるかも――てことは伝えてたから、対策はしてくれてることだろう。
 雲を払うような攻撃も出来ないし、ここは甘んじて受けるしかないよね。そもそもがあの雲にはアクトパラスとゼンマイの意思があると思う。払えるような雲ではきっと無い。自然発生的な物じゃないからね。

「ラーゼ様、落ちてくる雷に変化があります!」
「そう、なら障壁を上部へと集中するかな?」

 私はエデンの地下の最深部へと一人で来てた。そこはオウラムとこのエデンを巡って戦ったあの場所だ。キューブの空間というかそんな場所。ここに一人で居るのは、勿論ここが特別な場所って事もある。でも普通の人達はここに来ても何も出来ないからってのが大きいけどね。

 このエデンの情報やシステムを構築してるキューブに触れて直接的に色々と出来るのは、このエデンの主である私しか居ないのである。だから私はここにきてて、他の色々とオペレーターを買ってくれた人達は別の普通の管制室みたいなところに居る。

「よっと」

 私は小さなキューブを呼び寄せる。私の周囲には大中小の様々なキューブが漂ってる。その一つに手をかざして私は集中する。すると視界がエデンの上空を映し出す。

(エデンの重要な機能は全部地下にあって良かったよ)

 てかもしかしたらこういうことを想定してたのかもしれないね。まあ外気に晒すよりも安定した内部空間の方が保存とかメンテナンスとかやりやすいってのもありそうだけど。
 とりあえずは私はこの地下から上空に障壁を展開させる。私が直接そこら辺を操作してるのは今のままただエデン任せの障壁では出力が足りないからだ。

 私が手動で色々と操作することによって私の力をエデンへと受け渡して色々と足りないエネルギーを補ってるというわけ。なにせ今この地下世界を支えてるのはたった一本のクリスタルウッドの枝葉だけだ。その小さな枝葉だけではこのエデンを最低限動かして、そしてなんとかこの地下の人々の生活を支える程度のマナしか生み出すことは出来ないのだ。
 これ以上の負担を与えると、それこそクリスタルウッドの枝葉がどうなるか……そうなるとこの地下世界は終わりだからね。最悪、私がマナを常に供給すればどうにかなると思うけど……それだと私はもうただのマナを供給するだけの存在になってしまう。そんな自由がない人生はイヤだ。
 私は基本楽しくお気楽に生きたいんだよ。なのでそのためにもやることはやる。仕事は嫌いだけど、責任感くらいはあるからね。

 私の力でエデンの上部に強固な障壁を張る。すると出力を増した雷がまるで空を裂く竜のごとく降り注いできた。

「ぐっ……これは……」

 一応防いでるけど、このままじゃ地面に落とされそうな程の力だ。実際光度が下がってるし……私は別のキューブを呼び出して、そっちにもマナを供給する。それはエデンの出力を上げるためのキューブだ。雷を防ぎつつ、出力を更に上げてこの雲を抜ける! 
 ちょっとしんどいけど……私頑張る!

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