美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H398

 エデンが私の指示を受けてその底部からいくつもの砲台を伸ばす。そして遠慮無くその砲台からエネルギー波を撃ちだした。うむうむ、私たちだってただやられてるだけじゃないって事を見せつけてやろうじゃない。
 アクトパラスとゼンマイの奴にね。流石にエデンほどのデカい場所からの砲撃には耐えられないのか地上が燃える。するとすぐに雨が降り出した。
 さっきまでは厚い雲は張ってたけど、雨は降ってなかった。ただ雷だけ落ちてた。でも今はすぐにザーザーという土砂降りだ。これで地上の火を消そうという魂胆なんだろう。でもエデンが攻撃をし始めたから、雷もエデンの方にも向いている。

 私たちよりも当然のごとくエデンは大きい。だからこそその攻撃をめっちゃ受けてる。

(ちょっ!? ラーゼ! アンタなんて事を……)

 という声が何か耳元で聞こえる。きっとラリアの奴が私の本体を揺さぶってるんだろう。精神を移してるときは触るなって言ってたのにね。まあ確かにこんなことをいきなりやりだしたら、一言言いたくなる気持ちもわかるけど。でもしょうが無かったんだよ。

 いいようにアクトパラスとゼンマイにやられたままじゃ私の腹の虫が治まらないじゃん。これはね、必要なことだったんだよ。エデンの方に関心を向けるのがどうとか考えては居たんだけど、しょうが無いね。どうにかなるでしょ。
 とにかく今は……

「デカいエデンに雷が集中してる今のうちに戻るわよ!」

 私はそう言って飛行ユニットの出力を上げる。そして砲撃を繰り返してるエデンの底部の一番底からなんとか内部に戻った。

「ふう、任務完了だね」
「『ふう、任務完了だね』っじゃないわよ!! なんてことやってくれてるのよ!!」
「あっ、ラリア。何? 出迎えなんて可愛いところあるじゃん」

 私はむふむふしながらそんな風に言ってやる。私がにまにましてるのとは対照的にラリアの奴はプンプンである。全く、ラリアはいつだってプンプンしてるね。女の子は笑顔が武器なんだよ? そこら辺ラリアはわかってない。

「またいつもみたいにプンプンと……それじゃあ可愛くないよ?」

 可愛いは正義なんだから。それにラリアは笑うと可愛いんだよ? 自分からその長所を奪ってどうするのか。今はなかなかラリアの支持は戻ってきてる。でもそれを続かせるには笑顔って奴は大切だと私は思ってる。

「可愛いとかどうでも良いわよ。私はアンタと違うし」
「それはそうだよ。私は超可愛いけど、ラリアも可愛いって事。可愛さに貴賤はないんだよ」

 いろんな可愛いがあって良いと私は思ってる。

「そんなことでごまかされないわよ。なんてことやってくれたのよ!!」

 せっかく笑顔に誘導しようとしたのに、ラリアの奴は元の場所に戻ってきてしまった。一体何をそんなにプンプンしてるのか……

「ここまで派手に地上の世界樹を攻撃したら、この星の支配者が黙ってない……」

 深刻そうにラリアはそういった。そんなの私だってわかってるよ。でも既にアクトパラスの足はここに攻めてきたわけだし……抵抗する意思ぐらいは見せてても良いんじゃない?

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