美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H390

「アンタに上手くやれって言われる筋合いないわよ! 誰のせいでこんなことになったと思ってるの? アンタがコロッと何千年も眠らなかったら、こんなことにはなってないでしょ!!」
「むむ、ラリアのくせに……」

 言ってくれるじゃん。そこにおいては反論の余地はない。アレは私が不用心だったよ。ラジエルの奴が特別な存在になってるからってその……ね。精液を取込んでその特性をちょっと拝借……と欲を出したのが悪かったとは思う。
 でもいいわけだってある。だって最後の戦いは始まってたんだよ? 実際勝つ気だったけど、それを確実にするためにも常に新たな力って奴を求めて何が悪いって言うね。勝つために起こした行動なんだから、責められるいわれはないよね。ただ悪い方向にそれが作用したってだけだ。

 まああの時代の皆には悪いことをしたとは思ってる。そのために今、こうして贖罪してるじゃん。

「そういう過去のことをグチグチ言う女はモテないのよ!」

 私はずびっと言ってやる。そんな言い争いをしてる間にも、アクトパラスの足はどんどんと増えていく。ラリアの奴の切り札であるアクトパラスの足に有効な毒も、遅滞製だからね。それに向こうは圧倒的な数が居る。はっきり言って、そこまで有効か? といわれたらうーんと言わざる得ない。

「退きなさいラリアも、ヌーディケイド達も!!」

 私はそう言って手を前に出した。あんまり使いたくないんだけど……しょうがない。私は自身の膨大なマナを集めて、前方に放つ。勿論急いでヌーディケイド達もラリアも待避してたから被害はアクトパラスの足だけだ。

 いや実際ラリアの奴は「は?」とかいうアホな声を出してまだ銃を撃ってたけど、そこはヌーディケイド達に強引に抱えさせて退かせた。一発一発ちまちまと撃つよりも、私の力で一掃した方が早いからだ。まあおかげで……

「ちょっと、ラーゼアンタ……」

 そういうラリアの声は震えてる。私の一部分を観てわなわなとしてる。

「あんた! 手が!!」
「ああ、これね」

 私は自身の無くなった一部を観る。右手がなくなってしまってるのに、こんなに風な反応はおかしいだろうか? いや、おかしいね。 ラリアが焦るのもわかる。でも大丈夫。私は力を腕の先端に集めるよ。すると消えてた手が戻ってきた。

「は?」

 あんぐり――である。ラリアの口があんぐりとしてる。面白い。まあけど普通の反応かもしれない。なにせなくなったと思った体の一部が簡単に戻ってきたんだからね。

「なんともないの?」
「私のマナは膨大だからね」
「私の心配返してくれない?」
「やだー」

 私はいたずらに成功したかのようにニヒヒと笑った。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品