美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H363

「料理人がいないなんて……」

 私達は再びコールドスリープの場所に戻ってきてた。そこで料理人的な人を目覚めさせようと思ったからだ。なにせあんな不味い……いや別に不味くはないけど、何の楽しみもない食事を毎回取るなんて嫌だ。
 なので早速食事事情の改善に取りかかろうと思ったわけだよ。それなら必要なのはやっぱり料理出来る人じゃん? 私は当然として、ラリアも料理出来なくてシシとコランの孫ちゃん達も料理とか出来ないみたいだからね。
 だから誰か出来ないかなってそういうスキルも違いないかと思ってきた訳だけど……いや、事前にラリアも言ってたけど……この目で確かめるまでは――って思ってたんだ。

「だから言ったでしょ? 料理なんて必要なかったんだからそんなの出来るわけないって」
「だって……あんな食事だけじゃ、私が嫌なの!」
「こいつ……よくもそう堂々と自分の都合だけ言えるわね」
「そんなこと言われても、この世界は私のためにあるべきだし?」
「その傲慢さ……ある意味凄いわね」

 なんかラリアにめっちゃ引かれてる。そういえばラリアは為政者のくせにそう言うわがまま言わないね。それでは為政者としてはまだまだだね。

「食事をおろそかにしてると、不満とか貯まっていきそうだけど……革命とか起こされちゃうよ?」
「そんなわがまま言うような奴はいなかったわよ。それに私たちの時代ではアレが普通だったし。アレさえ食べてれば、必要な栄養もとれて成長にだって一番良い。
 アレのおかげで食材とかわずかしかとれなくてもなんとかなったのよ!」

 むむむ……あのまず……くはないけど美味しくもない食べ物をそこまで力説されるとは……確かにラリアの時代ではアレが一番良かったんだろう。でも私は我慢ならない。

「そもそもここでは食材が……」

 ぼそっとコランの孫ちゃんがそんなことをつぶやく。そういえばさっきから気になる事を言ってるね。食材が育たないとかなんとか。

「ここはエデンなんだから、星の影響なんて受けないでしょ?」
「そんなことある訳ないでしょ。この星の法則は全てアクトパラスとゼンマイが握ってる。沢山の理が改変されてるわ」
「まさかその中に今までの食材が作れなかったりもあるの?」
「そうね。この世界では何を植えても育てようとしても無駄なのよ」

 アクトパラスとゼンマイも無慈悲なことをする。でも確かにマナだけで生きれない人種には効果的。なにせ食べ物無かったらそのうち餓死していくのを待ってれば良い。手を出す必要なんて無いんだからね。
 まあけどそれを乗り越えてここまで残ってるみたいだけど……だからあの栄養満点の食事がありがたいわけか……この星の事情も考えれば、確かにあの食事は大発明と呼べるね。私的には認められないけど。

「ふっふ、私を誰だと思ってるの? 私が復活したからには、エデンの全機能を解放して食材の一つや二つ……いえ、全部復活させてみせるわよ!!」

 大胆に私はそう宣言してやった。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品