美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H362

「まずい……」

 とりあえず腹ごしらえ……ということになった。よくよく考えたら私たちって眠ったときから何も食べてなかった筈だ。そりゃあお腹減るよね。とりあえずは私たち四人だけでお食事をしてる。食料を保管してた場所をラリアが知ってたからね。沢山のキューブの中の一つに固形で一つ一つ包装された食料が入ってた。
 これは私が提案した栄養補給食品だね。昔よりはマシには成ってる。マシに……ね。でも舌が肥えた私にはお世辞でもおいしいとは……言えない。

「誰か料理とか出来ないの?」
「そういうあんたはどうなのよ?」
「私は食べる専門だから」

 トップの私が料理なんてするわけ無いじゃん。私はおいしいものを食べるだけ。それでいいんだ。てかそれが役目だし。勝手においしい物が出てくるようになってたんだよ? でも流石に今はそれは期待出来ないね。

「料理人を目覚めさせよう」
「は?」
「いや、だから料理人よ。必要でしょ?」
「そんなの居ないわよ?」
「は?」

 最初はラリアがはっ? っていって、次は私がは? っていった。いやいや、だって料理人がいないなんてあること? そんな馬鹿なだよ。だって料理だよ? 美味しい物って毎日の活力だよ! それに人種はマナだけでは生きていけない種族じゃん。
 だからこそ、他の種族よりも食べるって事へのこだわりが強かったはずだ。他の種族は最悪マナだけでも生きてけたけど……

(うん? ああ、だからこそ他の種族は残ってないのかも)

 一応コールドスリープにはわずかに他の種がいる。でもそれはコールドスリープ内にはかつての世界のマナが残ってるからだ。けど今の世界のマナはかつての世界のマナとは全然違う。
 だからこそコールドスリープから出したら、死んじゃうかもしれない。

「だから料理人なんていないわよ? そんなの必要なかったし。これで十分じゃない」
「ええ!? ちょっと待って、まさかとは思うけど、ラリア達って毎日これを食べてたわけじゃない……よね?」

 私はそう言ってシシとコランの孫ちゃん達もみる。彼女たちも普通にこれを食べてる。別に文句もなく。

「毎日これだけど?」
「そんなの私は認めません!!」

 私は椅子から立ち上がってそういった。これは私のわがままではない。だって美味しい物は日々の活力!! こんな世界だからこそ、美味しい物が必要!! これは絶対の絶対だ! 美味しい物を食べれば、こんな世界でも希望がわいてくる! そう言うものなのだ。

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