美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H358

「うきうき」

 そんな言葉をつぶやきつつ、わたしは整然と並んでるコールドスリープの箱から三つを呼び出した。もちろんそれはキララの孫とシシとコランの孫である。

「どんな子かな?」

 私の前まで来て、床についたその箱はプシューと言う音ともに前面が開く。すると白い煙がもわっと出てきた。そしてその中からガバッと腕が伸びてきた。

「ひっ!?」

 ちょっ、やめてよ。私はそんなにホラー耐性ないんだからね。さっきの完全にホラー映画の一場面だよ。いや、ゾンビと違って別に腐った腕してないけどね。ちゃんと綺麗な白い腕が伸びてきてる。まあなんか白い氷? みたいなのもついてるけど……きっとコールドスリープしてる間は冷凍保存かなんかだろうからね。そのせいで氷が残ってるんだろう。でも氷だけでも万年って無理だったみたいだから、この装置自体に時間操作の陣を組み込む……的な理論だったはず。
 あんまり難しいことはわかんないけど、冷凍と限定的時間操作でコールドスリープを実現してたはずだよ。本当なら完璧に時間を止める……ってのが出来れば良かったんだけど、それは結構難しい感じだったんだよね。

 腕の次には頭が出てきた。綺麗な金髪の髪が見える。そして拝めるそのお顔。

「ほえー」

 私は思わずそんな風に声を漏らした。あれ? なんか人種のランク上がった? と思った。だって、キララとカタヤの孫である彼女はとっても綺麗だった。まあちょっと目元がきつい気がするが、総じて美人だろう。

「おはよう気分はどう? あっ、そっちの二人もおはよう!」

 私は歓迎する気分で起き上がった三人にそういった。シシとコランの孫ちゃん達も「おおー」と思うくらいには可愛い。てか、なんかちょっとシシとコランの名残? って奴が見えて嬉しいってのがある。

「あなたって、もしかしてラーゼ?」

 キララとカタヤの孫ちゃんがそういった。多分だけど、自分達を起こすのは私だと……思ってたんじゃないかな? 私は否定する理由もないからね。上半身を起こしてる彼女の側によって「そうだよー」と言う。

「そうですか。起きたんですね。それじゃあ失礼しますね」
「へ? ぶっ!?」

 なんか顔面にがつんときた。そして視界がひっくり返った。いや、そんな痛くはないけど……なにせ私の体は超頑丈だし。でもこれって……

「あわわ! 何してるんです!?」
「そうだよ! 行き成り殴るなんて!!」

 幼い声が聞こえる。うん、そうだよね。やっぱり私、殴られたみたい。しかもグーで。やっぱりキララの孫だからなんか感情の揺れ幅がでかいんだろうか? コールドスリープのストレスとか? まあ美少女だから許してあげよう。美少女じゃなかったら許さなかったけどね。

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