美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H349

 アクトパラスの足のせいで城がなくなった。なので再びあんなことになっても困る。しかも今度は空間から足が出てきたって程度じゃない。でっかいタコとなって襲いかかってきてるのだ。今度はもしかしたらこのエデン全体を私は消し飛ばしかねない。それは困る。なので逃げるだ。

 でも悲しいかな……既に私は……

「あーーーれーーー!?」

 タコの足に捕まってた。でっかいから緩慢なんてのは嘘である。でかいからちょっとの移動で簡単に追いついてくる。ようは歩幅が違うのだ。まあタコだし、歩幅があるかわかんないけど。そして結局、私は障壁で自分を守る事に……とか思ったけど、さっきの二の舞は本当に困るから、自分の体内だけで完結させてる。

 それならまあ暴発することはない。けどこのタコ……さっきから私の服を脱がそうとしてない? 自分の周囲に円球状の障壁を張る感じなら、服に触られることもないんだけど、自分の内で力をためるのは要は外には何の影響もないからね。つまりは服なんて簡単にビリビリされるのだ。一応まだ保ってるけど……これ以上もみくちゃにされると……

 ビリ――

 ――とね、なっちゃうよね。まあこの際服はいい。そこにこだわり無いし。どうせ誰もいない。まあこのタコが嫌らしい視線でも向けてるのなら別だけど……純粋無垢な真っ黒な目してるからね。きっとこのタコに意思はない。ただ暴れてるだけだ。

 タコは私を潰せないことにいらだってるのか、どんどんとその足を絡めてくる。

「ちょっ、どこに入れようとしてるのよこの変態!」

 このタコ、足広げようとしてるよ! 変態です! 全然純粋じゃなかったよ! ええいこうなったら仕方ない、私は手を突き出してそこからどでかいエネルギーを発射した。それによってタコの頭が消し飛んだ。私の腕も……いや、成長してるからね。私の腕は残ってた。けど異様に赤くなってる。

「回復回復」

 シュルシュルドバンと力をなくしたタコの足が地面に落ちた。私はそれをクッションにして一緒に落ちる。裸だけど……まあもういいや。腕も治療して、早くエデンの中枢へと……と思ってると、ビクンビクンとなんか足が痙攣しだした。

「えっ? イッた?」

 原因はわかんないけど、私の裸はタコには刺激が強すぎた? それとも死ぬ前に体だけが勝手にビクンってするみたいな? それかな? とか思ってると、ずっとビクンビクンしてるよこれ。そして消滅したはずのタコの頭が元に戻り出す。

「うわー」

 厄介すぎる。再生持ちじゃん。面倒だからさっさと玉座が通るはずだった穴を……

「てか流石に広すぎて穴だけ見つけるとか……」

 無理くさい。実際玉座のすぐ側で爆発したし、そこにあると思ったんだけど……なんかない。こうなったら仕方ない。エデンは私の物の筈。ならば……私がそもそも向かうのがおかしいのでは? そう、主に出向かせるとはなんと言うことか! という精神を発揮することにした。

「エデン! 繋ぎなさい!!」

 私は力を高めてそう宣言した。すると次の瞬間、足下に穴が開いた。ほらね、流石私。

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