美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H348

「ギャメギャメギャメ!」

 そんな変な声を出してそれは迫ってきた。私の事をついばもうとでっかい嘴をそいつらは私へと突き出してくる。

(うわー近くで見るとでっかいなぁ……)

 私は慌てず焦らずに、ただそんなことを思ってた。体は細いんだけど、やっぱり翼が大きさをおかしくしてるね。よく見ると嘴の先端だけなんか材質が違くなってて強化されてるみたいだね。

 でもこんな生物に私の防御が破られるわけもなし。こいつらの嘴は私の体に当たる度にガツガツとなってはじかれてる。

(けど、流石にうざったいな……)

 そう思った。だってどんどんときてるよ。これが小鳥なら、美少女と戯れることで絵になるけどさ……プテラノドンじゃね。私は力を高めて脅してやることにした。

「退きなさい」

 力を高めた私にびびったのか、集まってたプテラノドン達が一斉に散っていく。よしよし……とか思ってたら、奴らは空で散会して「ギャラギャラ」とさっきとは違う声で泣き出した。しかもなんか……

「三つのグループに分かれてる?」

 何を始めたのかわかんないけど、プテラノドン達は三つのグループに分かれてそれぞれで円を作るように飛んでる。そして向こうもなんか力を高めてる。

「ちょっと変な対抗しないでよ……」

 なんだろう……なんかまずい気がする。回ってるプテラノドン達は円を描いて、そしてその円がじょじょに光を持ち始めてる。その中に描かれてるのは……多分だけど魔方陣だ。

「いやいや、何やる気なの?」

 そんなことを思ってると、まずは一つの魔方陣が完成したみたいだ。するとその魔方陣から何やら柱が降ってきた。そしてそれがエデンへと突き刺さる。すっごい振動が来た。
 そして更に残り二つも落ちてくる。まさかこの柱で私を押しつぶそうとかしてた? でも魔方陣の直下に落ちてきただけで、避ける要素もなかったけど……

(やっぱ脳みそ鳥か)

 とか思ってたら、その柱に緑色の光が走って、中身が出てきた。それはさっき空間を砕いて出てきてたアクトパラスの足だ。

「またぁ!?」

 なぜにこのプテラノドンたちがこんなアクトパラスを召喚するようなことを? てかこの柱は何? 柱から出てきたアクトパラスの足は次第に互いを見つけたのか、柱ごとの足を絡ませていく。そして次第にそれは溶け合い……一つの大きなタコへとなっていった。

「ええ……どゆこと……」

 何でこんなことに? てかあのプテラノドン達は何者? 野生のプテラノドンじゃなくない? だってただの生物はこんな魔法なんて……いや魔法を使うだけならあり得ると思うけど……こんな明らかに超複雑なことが出来る? 出来ないでしょ……しかも普通は魔法とかってその生物の特徴を表すように出てくるものだ。

 プテラノドンならそれこそ空を飛ぶんだから風を操るとか、嘴からブレス吐くとかさ。それならまだ理解できる。でも……これって明らかにプテラノドンが使うにはおかしな魔法でしょ。

 本当にこの世界、謎をたたきつけてくるね。とりあえず逃げよ。

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