美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H302

「敵の狙いは何だと思いますか?」
「候補は三つくらいはある」
「そうですね」

 私はアナハとティアラ様と共にそんな話をしてる。実際敵の目的を知るのは大切な事だ。

「一つは世界樹。二つ目はキララ。そして三つめはラーゼ様」
「私も?」
「その可能性は……ある。他種族にとって人種は雑魚。確かにキララは聖女とあがめられるくらいには魔法が使えるけど、それを他種族が脅威に思うかは別。でもキララにはその価値がある。」
「三つ目のラーゼ様はそれこそ規格外にマナの出力が高いですからね」
「あの人は常に高濃度のマナをまとってるから、体は柔らかくても破壊するとか無理。体に危害を加えられないのなら、人質として使いづらい。なら傷つけられるキララの方が簡単。
 それに人種のマナの総量なんてたかがしれてるとおもってるだろうし」
「そうだね」

 私はラーゼの力をほぼ無制限に引き出すことが出来る。それは秘匿情報だから、漏れてるとは思えない。まあもしかしたら漏れてるかもだけど……でも人質としての価値ならどう考えてもラーゼの方があると思う。
 けど確かに御しやすいのは私だとは思う。あいつは何をするかわかったものじゃない怖さって奴がある。
 黙ってたらそれこそ虫も殺せないような見た目なのに、実際は結構やんちゃだし。あいつに比べたら確かに私はおとなしい。

「世界樹は?」
「世界樹は人種がここまで大きくなった要。その世界樹がどうにかなったら、動揺は半端ない」
「なるほど……」
「けど、世界樹に何かしたら影響は私達だけじゃない。だからそうそう手を出すとは思えないけど……」

 アナハのいう通りだろう。世界樹は世界を支える柱だ。世界樹があるから世界はマナで満ちてて、命が生まれ、そして循環してる。ようは世界樹がなかったら世界は回らないという事だ。

 その世界樹に手を出す……なんてのは自分たちの首も絞めることだというのは誰だってわかる。まあ世界樹の近くには普通なら強い種が陣取ってきたから人種なんていう最弱種がいるのは許せないってのはわかる。

 だからって世界樹を移動なんてできないわけで……それなら人種をぶっ殺してこの場所を奪おうとするはずだ。だってそっちの方が現実的だ。

「でも確か世界の半分を牛耳ってる種は新しい世界樹を作ってるとかの情報がラーゼ様からあったように思います」
「え? そうなんだ?」
「ラーゼ様の言葉をまとめた報告書にありましたよキララ様。目を通してないんですか?」
「うぐ……ごめんなさん」

 だってああいうの硬いんだよ。文字が硬いの。だから目が滑るんだよ。どうにかして読まなくて、頭にインプットしてくれる技術をラーゼに開発してもらおう。
 ラーゼがいうと、研究してる人たちは一斉に動くから。私たちが言っても意味はない。てか新しい世界樹か……確かにそれなら、今の世界樹が邪魔になるのかもしれない。
 むむむ……やっぱり早く襲撃者の正体が知りたい。世界の半分を牛耳ってるアクトパラスとゼンマイは追い返したとか言ってたが、そいつらがオウラムを諦めてこっちに来たというなら、一大事だ。ハッキリいってオウラムに進行してる軍を一度全部戻すことになるかも。

「敵の正体を突き止める事を最優先に行動しなさい!」

 私はそんな指示を颯爽と飛ばす。

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