美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H298

 やっぱり敵が見えないというのは問題だった。でもそれは少しして解決したよ。先に市中に報告を受けて出てた部隊から連絡が入ったのだ。

「なるほど、存在を感じれない部分に奴らはいる――という事ね」
「そのようですね。これで正確に攻撃をすることが出来ます」
「そうね。どこの種かわからないけど、ここまでやったのだから、ある程度痛い目に合う覚悟くらいできてるでしょう」

 私は椅子に座りつつ、少し息を吐く。これでどうにか解決しそうだからだ。あんまりカタヤ様がいない状況で何か起きてほしくない。私は確かに王妃だが……あんまり面倒なのは嫌いだ。偉くもなりたかったし、それがかなってうれしくはあるが、責任というものは案外重いんだと……私は思ってる。

 最初は自分の命だけでよかった。まあそれも自分の意志ではどうしようもない立場だったんだけど。だから誰もがちゃんと自分の死に場所くらいは自分で決めれるような世界になればな……くらいは思ってたけど、今の私はたくさんの人たちの生死を左右できる立場にまで上ってしまった。
 それが重い。

「あらあら、駄目ですよキララ様。戦場では大将は凛としてるものです」
「そう、キララがそんなんじゃ指揮にかかわる」
「ティアラ様にアナハ……来てくれて感謝します」

 私は立ち上がって頭を下げた。二人とも私の要請にこたえてくれたみたいだ。よかった。これで拒否されたら泣いちゃうからね。やっぱり一人では色々と不安だからね。二人にこうやって馳せ参じて貰った。これで私の責任は分散……ではないけど、きっと間違えることは減るはずだ。

 二人にも椅子を用意してもらって現状の説明をしてもらおうとしたらそれをティアラ様が手で制した。

「大丈夫です。ちゃんと把握してきましたから」
「流石です」
「それと……魔眼で市中を見てみたけど、私の目にも敵は映らなかった」
「アナハの魔眼でも無理なの……敵は相当高度に姿を隠してるようね。一体どんな種なのかしら?」
「それはわからない」

 正体がわかれば狙いもわかるかもしれないが、向こうはよっぽど正体を隠したいらしい。アナハの魔眼はそのメガネが高性能化したことで、見ただけで相手のステータスが数値がされるとか、マッピング機能があるとか、エデンの中枢とリンクして、見たものの情報をすぐに検索かけられるとか、なかなかに反則ちっくな能力へと昇華してる。

 けど、それにはあくまで『見る』という行為が必要だ。見えない相手にはアナハの魔眼の機能が発揮されない。

「どうやら侵入者は隠密性が高すぎて、その周囲のマナも消えてるように反応するらしいです。そこに相手がいる……という事はわかってます」
「マナが消えるように反応するなんて……それはかなり異様。マナが消えてると、確かに私の魔眼ではみえない」
「そうね」
「私……役立たずね」
「もう、そんな事をいうものではないですわアナハ様。こうやっていてくれるだけでキララ様は心強い筈です。そうですよね?」
「ええ、もちろんよアナハ!」

 私はちょっと落ち込んだアナハをティアラ様と一緒に励ました。

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