美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H294

「報告します! 現在未確認の存在がアナハイムに潜伏してると思われます。各地で被害が多発してたので間違いないかと」
「警備システムが何かをおってるようだけど?」
「どうやらマナの欠落を異常と察知してるようです」
「欠落……か。確かに異常だね。世界はマナで満たされてるからね」

 報告を受けて私は周囲を探ることにしてみた。私だってただ大容量のマナを撃つだけが取り柄の奴のままでとどまってないのだよ。魔法だって勉強してるし、マナの扱いは常に体内で大量のマナを巡らせてるだけあって、結構自信ある。

 それにこの世界のほぼすべてのマナは私の支配下だ。ほぼっていうのは、一部違うけど、まあほぼすべてだよ。だからマナを統べる私が感覚を研ぎ澄ませれば、おかしなところを見つけることなんて……

「うーん、なんかわかんないや」
「大丈夫です。ラーゼ様にお手を煩わせるつもりはありません! 我らにお任せを! しかし、護衛もつけないのはいささか不安では? よければ、部隊から護衛を手配しますが!」
「それはいいよ。なにせ私にはこの子いるし」

 私はそういって肩掛けしてるバックをポンポンする。するとそこからひょこっと顔をのぞかせるのはぬいぐるみだ。いつもエデンの方ではこの子たちを侍らせてるわけだけど、流石にこの子たちが歩きまわってたら、外見をわからなくしてても意味ないからね。
 なのでバックに入れてるのだ。

「なるほど、それならば安心ですね」

 自分のひざ丈もないようなぬいぐるみだけど、その信頼感は高そうだ。まあ私の護衛についてるようなぬいぐるみが弱い訳がないからね。実際、人種にどうにかされる護衛なんてほぼ意味ないもん。
 だから彼らもこんなでも自分達よりも強いんだろうなーという達観があるんだろう。

「あなた達も気を付けてください。あんまり刺激したら何しだすかわからないですからね」
「はい! わかっております。対話を心がけるつもりです」
「そうね、頼ってきたのなら応じるかもしれないですもんね。でもそうじゃないのなら――」
「はい! 速やかに排除いたします」
「よろしい。私からもエデンの方へ……ってもう連絡はいってるかな」
「おそらくは」
「でもなんか気になるからね。今はオウラム侵攻にリソース食ってるだろうから後回しにされかねないし、私がちゃんといっといてあげましょう」

 そういって私は胸を張った。

「恐悦至極でございます!」

 うむうむ、頑張りたまえ。思わぬ幸運で彼らのやる気もアップしたことだろう。それから彼らは再びその例の侵入者たちを追っていく。私もエデンに連絡入れて、こっちにも人員を回すように蛇にいっといた。
 まあこれで侵入者を追い詰めることができるでしょう。私はおいしいスイーツのお店にでも行こうかな?

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