美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H259

名もなき兵士の視点1


「いけええぇぇぇ!! 進めえぇぇぇぇぇ!!」

 そんな隊長のうっさい声の元、自分はダンプのアクセルを思いっきり踏みしめる。ライトは付けず画面に映し出す暗視カメラの映像を頼りに、巨大な木々をよけてハンドルを切る。そして天井から顔を出した一人が備え付けの武器で、攻撃をしてる。

ダダダダダダダダダダダ

 そんな連続的な音が響く。当たってるかどうかはしらない。こっちはスピードを上げて、木々にぶつからないように走るので精一杯だ。なにせ一回でもぶつかったらおしまいだ。この森には敵がたくさんいるのは今までの状況から確かで……もしもこのダンプが動かなくなったら……あっという間に自分たちは死ぬだろう。

「なんで……なんでこんなに事に……」
「ぶつぶつ言ってないでポイントをめざせ! これまでのダンプの破壊された位置から、本国が怪しい位置を特定してる。我々はそれらを命がけで確認しないといけないのだ!! これは人類の未来のためだ!!」
「りょ……りょうかーい!!」

 泣き言を言ってるが、自分が操るダンプは上手いこと木々をよけて進み続けてる。多分そろそろ他のダンプではこれなかった位置を超えるはずだ。画面上に目的地を示してくれるから便利で助かる。
 外の景色の上に半透明に俯瞰した目的地を出してくれて、実際進んでる方向が見えるからな。これで迷うやつはいないだろう。問題は――

「うわ!?」

 ――目の前に変な姿の種が現れた。自分は素早くハンドルを切って――と思ったがさすがに間に合わない。ハンドル部分についてるいくつかの色違いのボタンの一つ、青いボタンを自分は押した。
 内部に変化はない。でも敵の攻撃を受けたはずなのに、ダメージはそうでもなく乗り越えることができた。それは特殊なコーティングを表面に出して、滑りをよくしたのだ。それでどうにかなるのか? と思われるかもだが、案外滑るってことはダメージを軽減してくれる。
 単純だからこそ、あまりコストを支払う必要もないのがポイント高い。とりあえず危機は乗り越えた。外に顔を出して武器を撃ちまくってる奴は敵を近づけさせないようにしてほしいところではあるが……

「くっ! また!!」

 再び同じ見た目の種だ。自分はまたも滑りをよくして回避する。けど、ポイントからずれる。

「しっかり弾幕をお願いする!」
「こっちだってやってる! もう俺たちが最前なんだよ!!」

 まあわかる。一番前ということは真っ先に狙われるということだ。実際さっさきから遠距離からの攻撃も来てる。うまく木々を利用したら遠距離の攻撃はよけること自体は簡単だが……どんどんと横にそらされる。そしていきなりの敵の登場……前へと進むことか難しい。それでも自分たちは生き残って進んでる。生きてる心地は正直しない。
 だが、それでも止まった瞬間に死がやってくるんだから、アクセルを踏み続けるしかない。
 
 そうやってどれくらいすすんだだろうか? かなり目指してたポイントからは離れてるんだが……なにかモニターが赤るくなってる? 

「おい、森が燃えてるぞ!」

 そんな声が外に顔を足してる奴からもたらされる。もしかして……これは……確かにだんだんとモニターが明るく映ってきた。そしてついにはそれがみえる。囂々と森を燃やすそれは……とてつもなく大きななにか……そう、きっと空から落ちたアルス・パレスで間違いない。
 それを確認して、情報を送った直後、謎の光が貫いて自分たちの意識は途切れた。

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