美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H236

『われらの支配権を剥奪したか』
『その圧倒的なマナの支配力、やはり厄介だな』

 アクトパラスとゼンマイの奴がそんなことを言ってくる。私のイメージが夜だったからか、この場が夜になってて、めっちゃライトたかれてて、適当な群衆たちが持ってるペンライトが光の海を演出してる訳だけど……その二体がここの場を壊そうと干渉してくる。

 空が赤く染まりかける。でも夜空の黒と不自然な赤は結局黒に食べられるように消えていく。

「させない! 貴様たちはここから出ていくがいい!!」

 アクトパラスとゼンマイがこっちに集中できないように、セーファが攻撃をしてくれている。ここの空間に影響が出ないようにだろう。飛びあがって空中で手足を動かしてパンチやキックを放ってる。まあはっきり言って、その光景はただ眺めてると、とても変な光景に見える。だって何もない場所へとパンチやキックを放ってるわけだからね。
 シャドーなんちゃらやってるだけだ。でもこの空間なら、ちゃんとそのパンチやキックはアクトパラスとゼンマイに届いてる。それにセーファの細腕から繰り出されてる攻撃は、一撃で大地を割るくらいはできる代物だ。

 上位種ともなれば天変地異を引き起こすくらいわけないし、しかもここはセーファのホームだ。さっきまではアクトパラスとゼンマイにそれを奪われかけてたが、今はその支配権を取り戻してる。

 遅れをとることはないだろう。あとは私がしっかりと後方から援護をしていれば勝てる! まあ援護と言ってもただ歌って踊ってるだけだけどね。

『不死の鳥よ。このままではそいつの思うつぼだぞ。われらと組め。そうすれば、人種を駆逐し、魔王とそいつを殺し、そして世界を新たに想像するのだ。もっと自由に強大な世界へとな』

 おうおう、なんかアクトパラスとゼンマイがセーファの奴をスカウト始めたぞ。アクトパラスとゼンマイはあくまでもこの世界にこだわってるのかな? かつてこの星で覇権を握った種は外の世界、宇宙へと飛び出ていったじゃん。
 てか星を手に入れてた。覇権を取ると、新たなる星が生み出されて、それが自分の世界として与えられてるんでは? まあ実際、星の運営というか、管理? 的なものはかなり難しくて、うまく回せるかなんてわかんないけど。
 実際それでどうにもできなくなって、他の星を食い荒らそうとしてたやつがいるからね。アクトパラスとゼンマイはあくまでこの世界を……って思ってるのはそういうやつらを見たからかな?
 まあ迷惑だから出てってほしいけど……

(ん? 私がこの星の覇権を握るとどうなるんだろう?)

 ふと踊りながらそんなことをおもった。私にも星が与えられるのだろうか? それはそれで、いいかもだけどね。

「ふん、つまらんな。ああ、つまらん提案だ! わらってやろうじゃないか!!」

 セーファの奴はそう言って本当に豪快に笑いだしてた。私にはあいつが分からないよ。

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