美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H216


 ちらっと後方を見てバイセンが離れていくのを確認する。多分666部隊の人たちは私の格好良さに痺れてる事だろう。

「むふー」

 得意げな声を出しつつ私は前を見る。オウラムの奴らはだんだんわかってきたのか、こっちに近づこうとしてるようだ。固まって力をあわせてどうにかこうにか、ちょっとずつ進んできてる。

(こっちもこれが限界だからなぁ)

 まあ正しい判断だと言えるだろう。なにせ私はこれ以上の出力は出せない。ならなんとか近づくことが一番。まあけどこれ以上の出力は手元では出せないが、なら数を増やせばいいじゃない。それでも収束できる光線って限度があるんだけどね。出力はこれ以上上げようがないけど増やすのは簡単なのだ。なにせ私のマナは底なしだ。
 それに結局はこの体はアンティケイド、なくしたって別に痛くも痒くもない。まあ本当なら、ここでオウラムの奴らの相手なんてしてる場合じゃないんだけど……アクトパラスとゼンマイの奴らが源泉であるあの活火山を狙ってるのなら、何か進行してるはずだしね。それを普通に伝えてみてはどうだろうか? やってみよう。思いついたらやってみよう。

「ちょっとあんたたち、聞きなさい」
「なんだ!? 降伏なんて俺たちは絶対にしないぞ!!」
「そんなつまらない事じゃないわよ」
「つまらない……だと? 俺たちなんて雑魚だとそういうことか!!」

 あらら、なんか勝手な解釈して怒りだぞ。しかも怒ったことで団結が強まったのかマナの結びつきが強くなった。ちょっとだけスピードが上がったな。より強固な守りになったから、抵抗が少なくなったんだろう。面倒な……別に私は眼中にないなんて言ってないじゃん。いや、ここにいるような雑魚は確かに眼中になんてないけどさ。
 だって結局オウラムって負け犬の集まりじゃん? しかも負け犬のくせにそのプライドを捨てられない奴らの集まりってやつが正しい。だってこいつらは人種の下につくのが嫌だから、まだ獣人であるラジエルが治めてるここがマシという理由だけで集まってる奴らだ。
 
(情けない)

 そう思うのは万人共通じゃない? 負け犬のくせにプライドだけは一丁前にあるとか、厄介でしかないよね。だから人種である私の言葉に変に怒るんだよ。ちゃんと耳を傾けろよと言いたい。これだから傲慢な種族はダメだね。ラジエルのやつは大変そうだ。まあそれに関してはもっとやれ……だけど。

「とりあえず忠告だけしてあげる。アクトパラスもゼンマイもまだやられてないわよ」
「ふん!! 奴らは死んだ。俺たちはその瞬間をこの目で見てる!!」
「見てるんじゃなく、マナを感じなさいよ」
「戯言に耳を傾ける者はここにはいない!!」
「それじゃ、あれがあんたたちに倒されるほどに弱かったの?」
「「「貴様あああああああああああ!!」」」

 めっちゃ怒った。多分トラウマだったんだろう。なにせアクトパラスはかなり派手に暴れてたはずた。あいつに滅ぼされた種はたくさんいる。そしてその脅威を知ってる奴らはここに立っているだろう。そいつらきっと一瞬アクトパラスの脅威を思い出したんだろう。けど、それを誤魔化すように私へと敵意を向けてきてる。
 でもそれにこいつらは気づいてない。それこそ現実逃避だってことを。

「だからあんたたちは弱いのよ。負け犬」

 私の目の前まできたオウラムのやつに向かって私はそういった。そいつは血走った目で武器を振り上げてる。

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