美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。
H212
「ラーゼ様、本当にいくのですか?」
そういう事を地上に降りてきた私に言ってくるバイセンの奴。まったく私の言うことにははいはい言っとけばいいんだよ? もちろん責任は取らないけどな! 私は無責任な女なのだ。
まあそれはいいとして、色々と現状を鑑みた限り、まだここを離れるのは早いという結論に達した。なので、一度地上に降りて、再びバイセンと合流。ダンプを使って、オウラムまで近づく事にした。もしも本当に、アクトパラスとゼンマイの狙いが源泉であるあの山なら、このまま奴らがなにもせずにいるわけがない。なにせまだ世界には奴らのマナがある。
つまりはアクトパラスもゼンマイも死んではない。ならなぜ一度倒された様な演出をしたのか……それこそが通常の上位種ではありえない事だよ。
「まだ奴は生きてるのですね」
「そっ、案外アイツラ小賢しいみたいね」
「確かに上位種はだいたい小細工なんて必要なんてしません。だからこそ、まっすぐにぶつかる奴らが大抵でしょう。死んだふりなど、それこそプライド的に信じられません」
バイセンの奴もこういうように、絶対的な力を持つとどうしても小細工なんてする必要が無くなるのだ。だって正面からぶつかれば倒せてしまうんだからね。でもどうやらアクトパラスとゼンマイはそうではなかったらしい。いや、ゼンマイ種の入れ知恵か? アクトパラスは元から上位種の中でも上位らしかったが、ゼンマイ種は結構そこら辺あやふやなんだよね。
さっきだって巨大化した姿はアクトパラスだった。今思えば、あの黒い塊だったときだって、触手はきっとアクトパラスの残滓が出てたんじゃないだろうか? となれば、ゼンマイの特徴はどこに? って感じ。アクトパラスに悪知恵を与えてるのがゼンマイなら、ハッキリ言えば先にそっちをぶっ倒したいよね。
だってただでさえ強い奴が油断もなく頭まで使って来たら厄介極まりない。基本上位種は頭もいいからね。どんな戦いだってまずは大将を狙うし、戦場で指揮をしてる司令官を狙うものだろう。ゼンマイがブレーンなら優先して倒したいが、今の今まで姿を見てない。一体化してるんなら、もうどうしようもないよね。それでゼンマイが生きてるのかわからないけど……
「結構近くまでこれたわね」
流石に大きな戦いをしたあとだ。警備とかも手薄なってるみたい。てか普通にエネルギーをかなり使ったからだね。オウラムの奴らはヘトヘトだろう。外に向けてる意識が散漫になっても仕方ない。でもそれが致命的……
「むむ……あれは」
「あれは666独立遊撃部隊の皆」
生きてたんだ。まずそれにびっくりだ。森を覆い尽くしたアクトパラスとゼンマイの変な物体に飲み込まれたかと……ピンチを何度もどうにか乗り越えたみたいだが、見る限り彼らの命は風前の灯火だ。
オウラム側に捕まってしまってる。多分、オウラムから離れようとしてたんだろうが、森が埋め尽くされたから仕方なくオウラムの方に戻ったけど、そのせいでみつかったんじゃないだろうか?
(ご愁傷さま)
私はとりあえず手を合わせて部隊の冥福を祈った。
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