美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H202

「あれ?」

 私はヤバいと思って体を縮こませた訳だけど、なんか一向にヤバそうな衝撃とか音が来ない。なんかこうなってちゃうとちょっと恥ずかしい。私は顔を上げて、態勢を元に戻す。
 すると横にはまだ縮こまってるバイセンのやつがいた。でっかい体をしてるから、縮こまっててもそれなりにデカイバイセン。

「ぷっ」

 なんかその姿を見たら面白くて吹き出してしまった。だってバイセン、あんなにでっかいのに、こんなまるで大きな岩の様に縮こまっちゃって! しかも微動だにしないし。

「ちょっと、いつまでそんな面白い格好してるのよ」

 私はそんな風に言ってちょっとバイセンを蹴った。するとそれに反応して、バイセンのやつが顔を上げた。顔だけ持ち上げたバイセンがキョキョ路として私を見つける。

「もういいのですか?」
「もうも何も、なんか何も起こってないわよ。だからさっさと、立ち上がりなさい」

 それを言うと、縮こまってた体を持ち上げて行くバイセン。一応あんたの種族は戦闘民族でしょうに、なんでそんなに動作が緩慢なのよ。私よりも状況を早く判断してほしいものだ。

「なんかさっきの攻撃、どうにかしてオウラムが退けたみたいね」

 一体どうやったのか……重要な所を見れてないぞ。だってさっきアクトパラスが放った攻撃ははっきり言ってかなりヤバい感じの攻撃だった。一筋縄でどうにか出来るものではなく、こっち側の戦力でも、さっきのをどうにか出来るのなんて……限られてくると思う。それこそ片手で数えるくらいしか居ないよ。
 それをオウラム側がどうにかできたと言う事実……まあ大体、あたりはつけられる。それはアルス・パレスか、あの山の主か、ラジエルの奴だ。あの巨人は? って声が聞こえてきそうだが、あれはさっきの瞬間では除外できると思う。
 だってふっとばされて、山にめり込んでた訳で、何かが出来るとは思えない。

(だいたいこんな感じだよね)

 候補としてはこんなものだと思う。もてしかしたら、オウラムに強力な種がついてる可能性も無きにしもあらずだけど……大体強いとか言われてた種はすでに居なく成ってるからね。だってそういう奴ら程、激しい戦いするわけで、大体このアクトパラスとかにやられたりとか、魔王率いる奴らにやられたりとか、後は鉄血種とかもそこらへんやってるはずだ。
 だからいきなり超強い種が転がり込んでくるって事はないはず。そもそも上位種ほどに誇りも高くて、数も少ないんだしね。オウラムなんて負け犬共の集まりだよ? 泥舟だし、そんな所に行くくらいなら、生き残ってる上位種は多分単独行動をするんじゃないだろうか? 

「その武器……なるほどな」

 なんとか見える山のところには、光る剣を持つアンティカの姿がある。それをみてアクトパラスがなんかわかっかのようなことを言ってたから、多分あのアンティカがやったんだろう。

 確かにあの武器……めっちゃ凄いエネルギーを感じるぞ。武器が光ってるというか、なんか光が集まってるかんじだし……こっちで開発してるどんなアンティカの武器よりも強いじゃないあれ? 

 むむむ……オウラムもやりおる……とか思った。

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