美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H197

「なんとか無事なようだね」

 てかよく無事だったね。どうやってあの大量に流れてきた物体から守ったんだろう? よくわからない。全員でアルス・パレスへと行ったほうが楽だったんじゃない? まあそんな手段があればだけど……転送系はこっちでも実現できてないからね。流石にないか。

 それこそ転送系の魔法が確立できたら、物流革命が起きるわけだからね。それはとても大きい。こっちでも出来てない事がオウラムなんかに出来てもらってたら困るから、よかったらかった。

 あれだけ頑張って国を守ったのは、あそこにいる人達を守るためだろうからね。

「ラーゼ様!!」

 そんな声が聞こえて下を見ると、小さな点のバイセンがみえた。心無しか腕を広げてる様な……なにあいつ? 私を受け止める気? そんな大役を自ら買って出るとは、かなり大胆だ。
 私を受け止める権利なんて、売りに出したら家を建てられるくらいで取引きされてもおかしくない。そんな蓄えあいつ持ってるのだろうか? てかバイセンの腕は固くてあんまり居心地いくない……いや、大きさ的には十分だよ? 

 だってかなり大きいから私をスポッと包むだけの大きさはある。それは合格点を上げてもいい。やっぱり女の本能として、包まれると安心感って奴を覚える。でもゴツゴツしてるのは……ね。マイナスだよね。それに別にバイセンの奴は万全の態勢を取ってるが、この程度なら自分でどうにか出来る。逆にバイセンに身を任せて大丈夫なのかって方が心配だ。

 流石に高くジャンプするにはそれなりのパワーが必要で、アンティケイドの体ではそれだけの出力に耐えられないかなって思ってバイセンに投げてもらったわけだ。

 でも地面に着地するくらいの力ならう出せると思う。てか普通に周囲のマナを集めてそれをクッションにしてもいいしね。私なら、マナの変質くらいお手の物だ。

(変質?)

 なんか自分の思った事が自分で引っかかった。

「ラーゼ様あああああああ!!」

 私が何が引っかかったんだっけ? と思いにふけてると、名前を叫びながら、バイセンが私を受け止めた用だっだ。

「うるさい」
「す、すみません! ラーゼ様! ですが自分を信用してくださって居たようで、嬉しく」

 信用? はて? 何をこのデカブツは言ってるのか? そもそもいつまで私を包んでるのか? 恐れ多いぞ。まあ完全に思考の方に意識を向けてて、完全に着地のこと忘れてたから、ありがたいと言えばありがたいが……なんか信頼されてたとか勘違いしてるし、尊大に振る舞っておこうっと。

「ごくろい」
「はっ!!」

 うん、バイセンもまんざらでもなさそうだ。

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