美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H195

 私はどんどんと空へと上がっていく。それに伴って体がガタガタと震えてきたし、息も苦しい。てか肺が痛い……

(ん? でもこのアンティケイドの体にそんなのないし、感覚だって、疑似では?)

 疑似というか、思い込みというか、だってアンティケイドはどんな過酷な環境にも耐えられる様にできてるのだ。でも私が苦しいやら、痛い……と感じるのは、それは私がいつもの感覚でいるからに他ならない。だって私は今、左腕がない。けど、それを痛いと感じたかというとそれはなかった。なぜかって、私は実は部位が欠損してるのに慣れてるからだ。
 いや、そんな事を言ったら、どんなMだよって思われるかもだけど、私はこの世界でも最高の力の容量を誇ってる訳で、それを使うには大変なのだ。

(むむ……むむ……私は……無)

 とりあえず私はこの体と距離を置く様にそんな事を念じてるみる。うん……なんかちょっと楽になった――

(うそ、苦しい! ちょっとムズい!!)

 私は自分がそんな器用じゃないって知ってる。なんか私を信奉してる奴らには、私が全能とか思ってる奴いるが、私はどちらかというと、何もしたくないやつ……いや、それはちょっと語弊があるね。
 私は楽しい事しかやりたくない。トップと言うと色々と面倒な事が多い訳だけど、私は面倒な事は部下に任せてやりたい事しかやらないのだ。アンティケイドだって、面白そうだからやって便利に使ってるわけだ。でもまだまだ実験段階。
 私の精神を自由に入れたり出したり出来るんだけど、下手に距離を置こうとすると、本体に戻りかけるね。微妙な塩梅が難しい。困る。

(しょうがないか)

 私は輝き出した。え? なんの比喩かって? いや比喩じゃないし。本当に私は輝いてる。え? いつも輝いてるって? 確かにそうだけど! 私はいつも輝いてる程に美しいけどね!! 

(でもそういうのじゃない)

 私はそう、物理的に輝き出したのだ。ペカーってね。まあ何をやってるかというと、簡単だ。私はただマナをまとっただけだ。この世のマナは全て渡しの物……それは誇張表現ではなく、まさにそのとおりだからね。大気中にあるマナとかをまとっただけだ。これでマナの防護服を作った。まあ実際、これで攻撃が防げる……様なものじゃない。でも、今は十分だ。私は楽になった。それにようやく、バイセンの馬鹿力も頭打ちになって来たみたいだから、下を見てみる事にした。

「ちょっと! 成層圏まで来てない!?」

 あの馬鹿力、どこまで高くあげちゃってる訳? もう大陸単位でしか見えないじゃん!!

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