美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H178

「ただいま」
「もうよろしいんか? 研究に戻りたいんじゃが?」
「これだって立派な研究でしょうが。私が体張ってやってるんだから感謝しなさいよ」
「全く、さんざん年寄りもこき使うくせに普段は全く協力的でもないやつがなにをいうんじゃ」

 戻って来たらいきなりネジマキ博士に文句を言われた。全く私がこんな近くで見れるってだけで価値高いんだから、文句いうんなんておかしいでしょ。左遷させるぞ。
 この研究バカ。

「はいはい、とりあえず今はこの世界の命運が掛かってるんだから協力しなさい」

 そう言いながら、私は小さなベルを取って鳴らす。別にこんなの使わなくてももっとハイテク装置があるが……なんか気分だ。気分的に置いてる。この玉座の間って広いしね。

 私がベルを鳴らすと、どこかからか……まあこの玉座の大きな柱の影からとかから、メイドが出てくる。

「ヘビとかハゲとか集めほしい。至急だよ」

 そう言うとペコリと綺麗なお辞儀をして複数のメイドに指示を飛ばしていく。そして扉の向こうへときえていく。

「全く今回は、セカンドとかは出ないとか」
「まあ、流石にカタヤとか手軽に動かせないし」

 一応秘密裏に行動してるからね。ミリアの事を考えても、今回はカタヤは使えないのだ。

「つまらん立場になったものだ。お前の思惑のせいでな」
「カタヤの意思だよ。皆を導く立場になりたかったんだからね」
「ふん……あいつにはそんな意思はなかったわ。確かに英雄ではあったが、あいつは地位を求めたことなんかなかったんじゃからな」
「そうだったっけ?」

 私は何気ない会話をネジマキ博士としてる。どうやら研究バカのこの人も、たまには人恋しくなるみたいだ。まあ私と会話できるって最高級のご褒美だからね。それを商品にしたイベントだって出来ると思ってる。
 まあ面倒だからやらないけどね。そういうのはプリムローズにまかせてる。それに私がカタヤを無理矢理持ち上げてみたいに言うのはやめてほしいよね。あれはカタヤの選択だよ? 

 無能な王と、既得権益に染まった貴族共を一掃して、革命を先導したのはこの世を憂いた英雄的行動の象徴じゃない。きっと末永く語り継がれるだろう。

「いいじゃん、今のカタヤ幸せそうでしょ。子供だって生まれたし」
「あんたが充てがった奴じゃがな」
「なに、キララの事嫌いなの?」
「別にあの娘にどうこういう感情はない。ただ、なんでもかんでもお主の思い通りになっておる……と思ってな」
「だって私は偉いからね。それに結局キララを選んだのはカタヤだし。そこはちゃんと二人の気持ちを優先してるよ」

 私が無理矢理くっけたみたいに言わないでほしいね。そんな事を言ってると、扉が動いてヘビとハゲ……あれ? なんかもっといるぞ。

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