美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H172

「わわー!!」

 頑張って耐えてたけど、私はついに余波に吹き飛ばれた。しょうがない、木々にぶつかるのは嫌だから念の為に一応部屋からもってきてた銃を後方に向けて、引き金を引く。するとでっかい光が私の後ろの木々を消滅させる。やっぱり銃は簡単でいいよね。ライザップに置いてたやつをグルダフに取ってきてもらって、それをエデンの技術力で改良したから、今の私でも使える物になってる。まあ普段はクリスタルウッドの中の部屋に厳重に保管してるんだけどね。なんか魔改造しすぎてヤバい代物になってるからね。今や国宝とか言ってもいいくらいである。
 とりあえず障害物は問答無用で消し飛ばしたから、勢いは次第に落ちていき、安全に着地できた

「よかっ――ふぎゃ!?」

 草に足を取られちゃったよ。なんて失礼なくさだろうか。燃やし尽くしてやろうかこの森。せっかくキレイな服が汚れちゃったよ。動きやすい服を選んだけど、それでも私は可愛さに妥協なんてしてないから。まあ見えないけど、多分私の本来の可愛さの十分の一くらいの容姿になってるだろうけど、それでも妥協なんてしないんだよ? まあ十分の一でも絶世の美女には変わりないからね。アンティケイドでは完全な私を再現するなんて出来ないのだ。ぞれだけ私が特別ってことね。

「そんな私に泥をつけるなんて……」

 こんな事をしたオウラムとアクトパラスとゼンマイには速くその債務を返さないとね。とりあえず今は様子見だけど。

「ラーゼ様!!」
「だれだっけ?」

 なんか軍用ダンプが近づいて来たと思ったら、でっかい奴が乗ってた。そのハンドルを握ってる手から、人種じゃないとわかる。先行させてたやつの誰かか。

「自分ですよ! 貴女の命でここにいるのですが」
「ああ、バイセンね」

 その単純な顔を見てわかった。髪はなく、四角い頭。顎は鉱石の様になってて、その一撃は大地を割る……とか大げさに言われる奴らだ。その内一人を666の部隊につけてたねそういえば。

「あんただけなの?」
「負傷者が居ますが、部隊の大半はオウラムの潜入任務へと。まあ上手くは言ってはないようでずが……」

 そう言ってバイセンは苦しそうな顔をする。まあ潜入任務とかこいつには向かないもんね。なにせ体大きいし、動くたびにズンズンいうもんね。そんなやつを一緒に連れてはいけないか。私だってここまであの部隊にさせるつもりはなかった。パウジーフラワーの連中が逃げるから……そしてオウラムまで逃げおおせたのが誤算だったね。

「負傷者は危険なの?」
「命に別状はありません」
「ならいっか」

 流石に死にそうなら、どうにかしてやろうと思ったけど、そうじゃないならいっか。まあ回復出来るかって言うとそうじゃないんだけどね。別に出来ないわけじゃないけど、回復って難しいし。和田市の桁違いのマナでそれをやると、人酒って回復っていうか、一瞬で寿命まで進んじゃうんだよね。確かに体は回復する。けど、命は全うされるのだ。南無……だから私はただ、そいつのマナを記憶しておこうかと。それならクリスタルウッドに帰ってきても、識別できる。一度死んでも、魂を戻せる。
 そのくらいのチートは実は出来る。体はアンティケイドにしよう。そういう実験も面白そうだ。まあけど、こいつでは出来ないけど。

「なんだか、あくどい事を考えてませんか?」
「やめてよこんな美少女がそんな事を考える訳無いでしょ?」

 私はそう言って天使のような笑顔を炸裂させる。

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