美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H161

「うわあああおおおおお!!」

 俺はモノクロのアンティカに投げられて、黒い物体の方へと向かってる。なんか触手はモノクロのアンティカの方へとばかり行って俺たちには向かってこない。あれか? 人種は内包してるマナも少ないらしい。だから、気づかれてない? この黒い気持ち悪い物に、目なんてなさそうだし、マナの量で敵を判断してるとしたら、ありえるかもしれない。でもはっきり言って、生きてる心地はしない。だって触手がビュンビュンと激しく俺たちの周りを移動してる。その勢いは俺たちが反応できるようなものじゃない。事故でぶつかっただけでも、やばいと思える。
 でも実際、このままだとあの黒い物体に突っ込んでしまう。それでどうなるか……わからないが、どうみても気持ちよくはなさそうだ。ろくな事にならないと思う。

「ボス! このままじゃやばいぞ!」
「わかってる! わかってる……が……」

 俺たちにはまだ武器がある。なにせあのアンティカ……別に武器を取り上げるような事はしなかったからだ。ようは武器があっても俺たちには脅威なんて感じてなかった……ということだろう。俺は自分の手にしっかりと握られた銃を見て黙る。確かに武器があるというのは心強い。オレたちの希望はこれしかない。だが……流石にこれを使ったら、触手が俺たちを襲うんじゃないか? その懸念がある。
 なにせ魔力を攻撃手段として集めて撃ってるわけで、俺達が自然と持ってる魔力とは銃が放つ魔力は全く違う。なにせ普通に俺たちでも使えるようになってるんだ。俺達の微弱な魔力なんてのは識別認証とかでしかつかってないぞ。そもそもが俺達がこんなバンバンと魔力を外に放ってたら、普通に死ぬ。そもそもか人種の平均的な魔力では殺傷力がある攻撃を一回やるのが限界だろう。だからこその魔光石。これは最新型だから今までのように魔光石を内包したカートリッジを交換するタイプではなくなってる。常に周囲のマナを自然と集めてくれてる。勿論一度に使いすぎると枯渇するが、それでも自然と回復していく。

「下手に撃つと、あの化け物の感心を引くぞ……」
「それは……だが、どうする? このままじゃ……」

 俺達は手持ちのカードを確認する。この銃は単体だとただ凝縮したマナを放つだけの銃だ。だが、このカードによっていろいろな付加機能をつける事が出来る。これが何回も俺達を救ってきたわけだ。だから今回も何かないかと見てる。全て把握はしてる。だが、この目で見る事で何か発想が広がるかもしれない。単体でだめなら、それこそカードを複数組み合わせてるてもある。

「これを使え!」

 既に黒い物体はすぐそこだ。俺はこの土壇場で、魔力を体にまとわせるものと、魔力を吸うカードを選んだ。魔力を体にまとわせると、単純に身体強化出来る。でも今回の目的はそれじゃない。魔力を吸うカードは対象の相手の魔力とかを取って研究に使うとか……そんな感じのやつで、戦闘とかで使うやつじゃない。だが……これしかないと思った。まずは魔力を吸うカードを銃にスライドする。そして銃口を下に向けて俺達は黒い物体に突っ込んだ。
 これで硬かったら終わりだったが、幸いにも、黒い物体は水のようだった。俺達はその中に入る。すぐに引き金を引いてその魔力を吸う。そして黒く染まったカードと魔力をまとわせるカードを後者を先にスライドさせて、魔力を吸った黒いカードはスライドの途中で止めて引き金を引く。すると吸った魔力をまとわせてくれる。

「がは……」

 水のような物の中だから、当然息は出来ない。それにただの水じゃなく、ネバネバしてる。もがいても……上にはいけない。空気が出ていって、そしてどんどんと手足が重くなっていく。この思いつきはだめだったか? そんな事を思いながら俺は意識を手放した。

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