美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H154

 通路が崩壊してしまった。俺は空中に投げ出される。下は勿論煮えたぎる溶岩だ。落ちたらどうしようもない死……それが待ってる。でも俺の腕を取る仲間がいた。

「うおおおおお! ボス!」
「止めろ! おまえこそ落ちるぞ!!」

 今ならまだ間に合う。まだ走れば、なんとかアルス・パレスのもっと安全な所までいけるかもしれない。でもここはまアルス・パレスへと続く通路の途中だ。いつこの上が同じように崩れて溶岩に落ちるとも限らない。だからこそ、俺なんて見捨てるべき。それにこいつはまだ五体満足だ。生き残れる可能性は尤も高い。だと言うのに――

「はは、ボスらしくない。確かに死ぬ奴を助けたりしませんよ。でも、まだアンタは生きられるだろう!! うおらあああああああああ!」

 ――そう言って、その肉体の力で俺を引っ張り上げる。そしてそのまま走り出す。

「さあ早く! 休んでる暇なんてないですよ!」

 確かにその通りだ。休んでる暇なんてない。休んだりしたら、それこそ永遠のお暇になるだろう。それを望んでるわけじゃない。過去なら、死ぬ場所を求めてたみたいな感じでもあったが、今はもうそうじゃない。出来る事なら……生きたいさ。沢山の部隊の奴らが犠牲になったのに何だって感じだが、生きてる奴らは生きる事に全力を傾けないといけない。死ぬ覚悟もしてる。部隊の奴らは皆そうだ。そして、逆に生きる決意だってしてる。体の半分が痛いが、それでも脚を動かす。今度もう一度さっきみたいなっ鱈もう一度同じように運良く助かる……なんて楽観的にはなれない。

 アルス・パレスはどんどんと上昇してる。でも不安定でもあるのか、フラフラしてる。だからだろう。山の側面にぶつかって、その振動が地震のように響いてきて足元を危なくさせる。なんとか繋がってる通路がこの振動でめっちゃ軋んでる。ヤバい……これは通路部分が再び落ちる。でも今度は同じように行く気はない。

 俺は銃口から、光を放つ。それは何度も使った銃口の先をロープにする奴だ。これは本当に便利。

「くっ……」

 なんとかロープが俺達を支えると同時に、通路部分がアルス・パレスから分離して、俺達だけを空中に残して、落ちていく。その時の破片がめっちゃ危なかった。でもなんとか運良く大きな破片が俺達へと当たる事はなかった。俺達は空中に宙ぶらりんの状態になった。でもアルス・パレスはもう少しだ。

 そう思ってると、壁をこすってたアルス・パレスが壁から離れた。これで振動が収まる。ちょっとホッとしてると、次は逆側に上昇しつつ迫ってる様な。それに振り回される俺達。

(ヤバい、このままじゃ壁に!)

 急いで上に……いや、巻き上げるのも流石に間に合わないぞ。そんな風に考えてる間にアルス・パレスが再び山の側面へとぶつかった。

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