美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H136

 白いテープは用途としては魔法的な罠を壊す目的の道具だ。何やらこれを張ったら、そこは魔力の通りが悪くなるらしい。そして自立式の陣は常に魔力を流し続けてる。だからこそ、どこかが滞ると、そこにどんどんと流れない魔力がたまっていき……そしてその内……

 バチバチバチン!!

 そんな音がきこえると、もうなにをしても魔法陣が見える事はなかった。つまりは魔法陣は咳止まった魔力が暴発して壊れてしまったのだ。俺は頷いて、部隊の一人がドアノブに手を掛けて勢いよく引いた。俺達はその周りで何か別の罠に備えていた。もしもここの主が用心深い奴だったなら、こう言う仕掛けが一つ……と考えるのは危ない。だから、用心してた。だがどうやら矢とかが飛び出てくる……なんて事はなかった。開いた扉から中を覗き込む。そこはこれまでと同じ小綺麗な部屋だ。だが異質な部分がある。それは壁だ。壁に大きな布が掛かってる。明らかになにかおかしいと終える。だってあってない。

 落ち着いた色合いで統一されてるのに、壁の一部に掛かってる布は赤い……真っ赤な布だ。ここだけ主張強すぎる。とりあえずこの布を退かしてみることが必要だろう。

「どうだ?」
「魔法的な物はないようっす」

 どうやら仕掛けは扉だけだったらしい。それでも緊張しながら俺達は布を退けた。すると後ろの人形? 木で作った様な不気味なのが行き成りものすごい音を出す。頭まで響く様な音……明らかに魔法的な何か……これは……不味い!

「壊せ!!」

 一番その人形に近かった奴にその指示を飛ばす。この大音響だ。今更銃声なんて気にしてられない。そいつは銃で人形を撃ち抜く。だが……ドカッと一階で大きな音がした。多分今のは防犯的な仕掛けだろう。目の前の布に意識を抜けさせて何もないと思わせといて、実は別の物が魔法で監視してたと言う訳か……一杯食わされた。

「ボス! 俺達が残ります!」
「いや、全員で行く! 起動させろ!」

 下の様相はかなり騒がしくなってる。多分死体が見つかった。直ぐにもここに来る。そしてここはオウラムの街の中だ。敵しかいない。こんな所で数人残しても直ぐに殺されるだけ。意味なんてないだろう。なら、全員で行く方がいい。この陣を解析出来ないし、直ぐに使うとなると多分最後にここの奴が使った場所に繋がったまま。もしもそれが、俺達と鉢合わせた場所だとしたら……最悪だ。なにせ逆に戻る事になる。
 だが、悠長にやってる暇はない。博打が多すぎるが、やるしかない!! 魔道テープを使う! 今度は白いやつじゃなく青いテープだ。今までは使い切りの魔道具とかには魔道石を使ってた訳だが、それでは小型化には限界があった。だから魔道具の様に魔力を蓄積させた別の物が必要で開発されたのがこの魔道テープだ。色々と使い勝手が良い代物で、持ち運びも楽だ。石を持ちあるくよりも圧倒的に軽いしな。

 とりあえずちぎったテープを壁の魔法陣に貼りまくる。すると魔道テープから魔力が流れて、魔法陣が光り出す。だが、普通は術者でもないと陣は発動できない。でも大丈夫だ。魔道テープにはある程度の回路が仕込まれてる。だから完璧とは言わないが、魔道テープが阻害する部分を避けて魔力を流して、その陣の発動の補助もしてくれるのだ。結構テープを使ったが、ここで出し惜しみはできない。

「手を繋げ!」

 俺は陣に手を置き、そして俺から別の奴へ、そして更に別の奴と、直列に手を繋いだ。そして次の瞬間、俺達は一瞬の浮遊感を味わった。その瞬間、扉が空いた気がしたが、一瞬早く俺達は飛んだ様だ。

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