美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H127

 何か言い案がないかと部隊の皆、それにサポにも意見をもとめる。一番可能性が高かったのか、オウラム全土にまとめて幻想魔法を掛ける……というものだった。そんな事が可能なのかサポに確認すると、この地のマナはとても豊富だから多分いけるだろう……と言うことだ。

 だがそれにも当然リスクはある。それはこの山の主に多分その幻想魔法は掛からない。そしてそいつが異変に気付が、反射みたいなのをやられる可能性があると言う事だ。そうなるとこっちがピンチだ。それに大規模な幻想魔法はそれだけ効果が薄いみたいな? 

 ちょっとした認識阻害程度の効果しかないくらいにまで効果的に落ちるみたいだ。目の端に見えた物を素通りさせたり、ちょっと気になった事が頭からすっぽ抜けたりていど。幻想魔法に掛かってるからって、目の前でウェーイウェーイやってたら当然それには気付く。

 まあそんな事はしないが。まあつまりは効果的にその程度って事だ。でも幻想魔法は意識に介入するらしい。それはどんな視界で世界を見てるのかわからない種にだって効果はある。なにせ「怪しい」とか「不自然」という意識は共通なはずだからだ。
 観る世界は違っても、浮かぶ思いはあるところでは同じで、それを抜け落ちさせる事が出来るのなら、成功率を上げられる――と言ってもいいと思う。

 なにせ今のままではオウラムにこれ以上近付く事すら難しい。

「そのこの山の主らしい奴はどうする?」

 幻想魔法を反射されたら全てはおじゃんだ。かといってあらかじめ倒す……なんて事は不可能だ。何せこの火山の主は上位種らしい。それも永遠の命を宿す不死の種だというからな。そもそもが殺す事が不可能という種なんて反則にも程がある。

『その種の姿がわかりますか?』
「それはアンティケイドの記憶にあったな」

 脳に直接受け渡された情報を引っ張ってくれば、この火山の主の姿が脳裏に浮かぶ。真っ赤な髪をした美しい女性だ。腕や足の部分には翼の様な物が生えている。

『その人が山の方に居てくれれば、オウラムの街で起こった異変には気付きにくいかも?』
「疑問形なのは気になるが、まあ確信なんて出来ないからな。彼女はよく山にはいってる様だな……だが規則性はないぞ」

 もしかしたらこの時間には山にいく……なんてルーティーンがあるのかも知れ無いが、流石にアンティケイドの情報だけではわからない。そこまで深く調べられるわけでもないしな。これはしょうが無い。

『マナの質を感じ取れませんか? 多分山の主は強大な力を持っています。それを感じ取れれば……』
「なるほど……」

 確かにそれは可能性があるかもしれない。と言うわけで、われら第666独立遊撃部隊で一生懸命魔力検知を試みる事になった。

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