美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H122

「アンティケイド? とりあえず全員構えを解け。あれはどうやら味方らしい」
「本当ですかボス? どう考えても味方には見えませんが?」
「そうですよ! あんなのがいつ味方に成ったんですか!?」

 部下達のそんな声に俺も「知らねーよ!」って言いたい所だ。だがサポはそう言ってる。

(本当に味方なんだろうな?)
(本当です。アンティケイドは秘匿された存在なので、貴方たちまでは情報が回って無くてもおかしくはないですよ)
(じゃあ、お前の言葉以外では証明できないって事か……)
(不十分でしょうか?)

 思うだけで会話できるって言うのは便利で良いが、これってどこまでサポには伝わってるのか、自分でいまいちわからないからな。でも微妙な心の変化みたいなのは伝わる。声よりも、心は隠すの難しい物じゃないか? まあ元からこれで生きてきたサポの種はもしかしたらこの心の機微さえ自由にどうにか出来る……って事もあるかもしれないが……でもそれをやってサポになんの徳もない。

 それにこれまでサポは沢山俺達に協力為てくれてる。間違いなく、サポは人種の味方だろう。

(いや、充分だ。それでアンティケイドの事、知ってるだけ教えて欲し――いや、秘匿事項なら無理か)

 アンティケイドの情報が欲しいと思ったが、そもそもが俺達には一切伝えられてない存在をサポが軽々しく言えるとは思えない。見た目はとても人種に近い。真っ白な人種だ。ただ、その背中には小さな羽があるし、顔はなかったりして気持ち悪いが。

(それはアンティケイドに直接きいた方がいいと思いますよ)
「ん?」

 どういう事なんだそれは? ――と思ってると、アンティケイドが何やら顔面を両手で掴んで揉んだり、引っ張ったりしてる。

「ひっ! ヤバいっすよボス!」
「何かやろうとしてる!!」

 銃口が再び向く。まあわかる。いきなりそんな事し出したら、勿論ビックリする。なにせなんかゴリゴリ言ってるし。明らかに、自分たちか揉んだりする程度の力の入れようじゃない。そうやって緊張感を持って見てると、アンティケイドの頭が四角く伸びた。まるディスプレイの様に。そしてそこに何やら映像が映り出す。顔が伸びただけでも口があんぐりする案件だが、その顔の部分に映像が映って更に驚愕だよ。どうなってんだ。

『第666独立遊撃部隊の皆さん、任務ご苦労さまです』
「あ、アンサンブルバルン総司令!!」

 俺達は一斉に背筋を整えた。なにせアンティケイドの顔に映し出された向こうに居たのみ鋭い眼光向けるヘビの頭をした御仁……アンサンブルバルン総司令その人だったからだ。

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