美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H117

 オウラムに再びある種族が駆け込んできた。それは頭に花が一輪咲いてる種だ。まあそんなのは取り立てる程でもないんだが……良くあるしな。問題は彼等が引き連れてきた物だ。なんと彼等の後ろからダンプが着いてきてた。ダンプは元々は獣人の国であるライザップで生まれた乗り物だ。

 だがもはやダンプは人種の移動手段と化してる。そう、アレを使うのは人種しかいない。同盟を組んでるらしい魔族はその能力でダンプを必要とはしてないからな。パウジーフラワーと呼ばれる一輪咲きの種の後方でダンプは待機してる。

 パウジーフラワーを追ってきてたらしいが、我らオウラムの領域に入った事で、攻撃を今は止めたらしい。懸命な判断だ。これ以上追ってきてたら、流石に俺達も黙ってはられない。いや、今も充分ぶったたいていいとは思う。だがどうやら人種だけじゃないらしい。それにあのダンプは俺がライザップで見たのとは違ってる。
 まずはパウジーフラワーに話しを聞くことが大事だろう。情報を集めてアレをどうするか決める。どうせなら、鹵獲したい所だ。なにせ情報は幾ら合ってもいい。

 パウジーフラワーたちは何にでも寄生する事が出来る種らしい。それは生きてる物でも……だ。だから自分達も寄生される可能性がないわけじゃないが、姫が言うには力が隔絶してたらその心配は無いとの事。なら俺とセーファとかが対応した方が良さそうだ。
 セーファは元が幻獣種の一種だから格としてはこの世界でも上位に当たる。俺も既にただの獣人ではない。獣人の枠を俺は飛び出した。だからこの世界での位置というのでははかれなくなってる。進化はそれほどに劇的に十人種を変えてくれる。

 でもだからこそ、俺達には呪いという楔があるみたいだが……

「自分達の要求に応えて頂きありがたい」

 パウジーフラワーの代表の様な人がそう言ってきた。その人は枝を集めたみたいな見た目だ。はっきり言ってどこが顔とかはわからない。本当にただの枝の寄せ集めだからだ。後は葉っぱの寄せ集めだったり、土から体を作ったりしてるのもいる。でもどれにも頭には一輪の花。それがパウジーフラワーの特徴であり、本体。

「いえいえ、一体何が? 後ろに人種がいるようですが?」

 それから俺達はパウジーフラワーの人から何が起きたのか、ここまでに来る経緯をきいた。パウジーフラワーはあまり知られてない種だ。実際俺達も姫がいなかったらその存在を知ることはなかっただろう。姫は謎でなんでも知ってる。

 彼等は穴の中の小さな泉で暮らしてたらしいが、ある日その泉に人形が振ってきた。その人形は凄くて、彼等はそれに寄生したらしい。色々と突っ込みたいが、そこはグッと我慢した。彼等的には天が与えてくれた依り代的な物だとおもったらしい。実際それに寄生するととても力が溢れ来たらしい。

 だがそればどうやら人種の先兵だったみたいだ。居場所がバレたパウジーフラワーの住処は襲撃され、彼等は命からがらオウラムにまでたどり着いた……と。

「好き勝手にやってるな」
「ああ」

 セーファの言葉に俺は同意する。オウラムに手を出すとどうなるか、少し人種に……いや、ラーゼの奴にわからせる必要があるみたいだ。

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