美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H105

「うーん、やっぱり不器用ねキララは」
「五月蠅い」

 無茶ぶりしてきた奴に言われるとムカつく。私はさっきからラーゼの奴が使ったマナを消滅させる力をマスターすべく、このクリスタルウッドの内部空間で頑張ってるんだよ? 

「はあはあ……」

 この空間はとてもマナが濃い。幾らだって魔法を行使する事ができる。でも魔法とは本来とても繊細で、そして人々の英知なのだ。やったよ――出来た――なんて事はない。いや、でもそれはどうやら人種だけみたいな? 今や、色々な種族と関わる私はどれだけ人種が劣ってるのか……制約があるのか……それを感じてる。
 私達人種は研究して、陣を形作り、法則を解いて、更に構築しないと新しい魔法なんてうみだせない。けど他の種は感覚でやってしまうところがある。それは事実なんだよね。

 そしてやっぱりラーゼは人種とは違う。さっき私の体を通して、魔法を行使した訳だけど、はっきり言ってあれだけマナを直に操るなんて事は私には出来ない。

(アレは魔法っていうか……)

 一応何をしたか、後に聞いてみた。だって別に陣とか出なかったしね。なんかめっちゃ光ったと思ったら、一気に全てがなくなった……みたいな? はっきり言って理解の範疇超えてるよね。そもそもがマナがなくなるって恐怖なんですけど? マナは全ての源だ。それが無くなれば……完全な消滅だ。この世界の生命は死んだとしてもここに、このクリスタルウッドへと戻ってくるって言う、ある意味の安心? みたいな物がある。
 でも完全に消滅なんて、理解にない。マナとは生み出る物で消えるものじゃない。寧ろ私達に見える物が消えたとしても、それはマナと成ってるだけ……と言う認識だ。けど、この力はそんな常識を覆す。

「マナを動かすっていったって、私はマナを受け取るだけで、操れるのは魔力なのよ!」

 マナと魔力は厳密には違う。マナは魔力の元素だけど、魔力はもっとマナを堕とした物だ。だからはっきり言ってこれを人種がやるのは難しいって結論が今までで出てる。人種は基本、マナを動かすなんて事は出来ない。直接ラーゼからマナを受け取ってる私でさえ、魔力として使う事しかできない。私が行使する魔法をラーゼが使うと威力が別格で違う。

 それは魔力とマナの格の違いだと聞いてる。ようは魔力でマナを消滅なんてのは、どだい無理な事だとおもう。

「なら、マナを操れる様になりなさいよ」
「出来たら苦労しないわよ!」

 私は特別だ。それはわかってる。でも、特別にも限界って奴はある。特別の限界、それか種族としての限界か。

「泣き言なんて聞かないよ。出来るまで、カタヤとイチャイチャするの禁止だからね」
「ちょっ! 私には何人も世継ぎを産む義務って奴があるの!」
「やりたいだけの癖にー」

 アンタにだけは言われたくないわ! 私は泣きながらラーゼのスパルタを受ける事になってしまった。

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