美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H73

 とりあえず私とラーゼ様はバルコニーに設置してある椅子に座った。直ぐに別のぬいぐるみ達がお菓子とかお茶を持ってくる。最初はこんな事出来る訳もなかった筈だが、この子達も常に改良されて、どんどんと多彩になって言ってる。ぬいぐるみ達に裸の者は一人もいなくて、どれもが凝った服を着てる。

 少なくとも、私の着てる服よりも上等そうだ。いや、私のそれなりの立場だから、格好には気を遣ってる。だがどんなに良い物でも、毎日くたくたになるまで着てると……な。高い服はそれだけメンテナンスだって大事だ。だが私の服はそこまで出来ない。必要な時に、二人の秘書にアイロンとか駆けて貰うか、仕事場の方にある服に着替えるか……だ。そっちのほうが良い物多いから。

 そんな私の服をこのぬいぐるみ達の来てる服は間違いなくて上回ってる。それぞれ小さな体に合わせて作られてて、なのに精巧で装飾も凝ってる。それに多分、その服、沢山有る。毎日変わってる気がするし。

「ちょっと問題が起きたんだよね」
「問題……ですか?」

 そう言う報告はたくさん来てる。だが、ラーゼ様からもたらされる問題は、私の所に来る報告ではないものだろう。なにせラーゼ様が一番に情報を受け取る……なんて事はそうそう無いからだ。あるとしたら、ラーゼ様が独自にしてるよくわからない事。つまり、その問題とはラーゼ様の行動で起きた問題だろう。

「最近、第555遊撃独立部隊を動かしたのしってるでしょ?」
「ええ、装備も渡して送り出したのはしってます」
「その部隊にミリアが乗っかっていったってしってる?」
「……それは……本当ですか?」

 まさか魔王様が関わってるとは……というかどうして? 一体何があったらそんなことに……

「まあけど、それはどうでもいいわ」
「そうでしょうか? 目的とか、気になりませんか?」
「目的はわかってるわよ。私がどこにも属してない種とかなんとかをあぶり出したり色々するためにアンティケイドを放ったじゃない。だから他の種が滅ぼされる前に、力を取り込もうって事でしょ」
「なるほど……それで問題とは魔王様の事ですか? 我々の動きを邪魔されかねないと?」

 小さな口にお菓子を運ぶラーゼ様。小さく噛んで咀嚼してる。可愛い。

「ううん、どうやらパウジーフラワーが思ったより厄介だったみたい。打ち漏らしたみたいだね。それにアンティケイドを奴らは倒してなんか取り込んでるみたいだし……今残ってる種なんて弱い奴ら……とか思ってたけど違うかもね」
「大丈夫なのですか?」
「実際、戻ってきていいよって言ったよ? でも彼等進むことを選んだ。まあなら勝手にさせるよ」
「魔王様もですか?」
「ミリアはもう戻ってきてるわよ」

 流石に魔王様はそこまで付き合う事はしないか。

「他のアンティケイドは順調ですか?」
「他もそこそこやられてるけどね。まあけど、まだまだ追加できるし……オウラムや、世界を支配した気になってる奴のところには入り込んでるわよ」
「それでは問題というのはそのパウジーフラワーという種ですか?」
「なかなかエグい能力してるし、頭も回るみたい。でも使いように寄っては、奴らをきっかけにオウラムと一位の奴をぶつけられると思わない?」
「全てを同時に始めるのではなかったのですか?」
「そうだけど、それも全て私達の手のひらの上なら、私達か一歩リードしてるって言えるんじゃない?」
「そうですね。ならその計画にパウジーフラワーを組み込みましょう」
「うんうんよろしい」

 上機嫌にお菓子を食べるラーゼ様。この方のお願いを断るなんて私には出来ない。再び眠れぬ日々が続きそうだ。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品