美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H70

 白い謁見の場に来た。でもそこにラーゼ様はいなかった。まあここにいらっしゃる方が少ないが……そもそもあの方は自由な人だ。仕事を押しつけては不機嫌になる。それに我々だってそれを臨んでる訳ではない。優秀な者達を周りに侍らせるのは、ラーゼ様を楽にさせるためだ。

 だがそれでも我らはラーゼ様に頼ってる。何故なら、彼女の代わりなどはいないからだ。唯一無二。その美しさも、そして存在も……だ。最近は魔王とかいう輩が出てきた。だが、その力はラーゼ様に並び立とうと、ラーゼ様になれる存在ではない。

「さて、どこに……ん?」

 私を呼び出したのはラーゼ様自身の筈。そう思ってると、玉座に置かれたぬいぐるみに気付いた。それは白いドレスを着た熊のぬいぐるみだった。私は近付いてそのぬいぐるみに手を伸ばす。するとバシッとその手を振り払われた。

「何触ろうとしてるのよ変態ハゲ」

 そんな事を宣ってくるぬいぐるみ。これはあれか……ラーゼ様の警護のために置いてるあれか。我々はラーゼ様の重要性を理解してる。そして世界もそうだ。だからこそ護衛は必須だろう。エデンはラーゼ様の支配下だ。だから敵が入り込むなんて事はそうそう無い。それにラーゼ様自身、強力な防御の力を常に張ってる。

 だが、だからといってラーゼ様の周囲を無防備にしてて良いかと言われると……そんなことがあるわけがない。というか、我々がそれを許すわけがない。だからこそ、警護の物は厳選をした。まあカメレオン部隊が常にラーゼ様を守ってはいるが、見える盾……と言うのも敵を牽制するには必要だった。だが……どうしても……どうしてもごつい種やデカくいかつい奴らがラーゼ様の周りに常にいるなんて……それは絵としてなんか違った。

 ラーゼ様は世界一……いや宇宙一美しい。それはラーゼ様の後光だ。そしてその光で我々をそして、世界を照らしてるいっていい。それなのに、その光を遮らせる様な者を側に置いては意味が無い。ラーゼ様はそのお姿で全てを魅了できるお方だ。

 なら見せつけるべきでもある。だからこそ、我々は苦心した。ただ常にラーゼ様の側にいられる立場に嫉妬した訳ではない。そこで持ち上がったのが、このぬいぐるみ達だ。エデンと我々が持ってた技術の融合。ここまで小さくするのはとても大変だったろう。

 だがネジマキ博士達は頑張ってくれた。まあ聞いた所に寄ると、これを完成させることが出来たのは別の人物のおかげらしいが……詳しい技術的なそこまでわからない。私の手をはたいたドレスを着た熊のぬいぐるみは玉座から降りてトコトコと歩き出す。

「付いてきなさい」

 そんな事をいったぬいぐるみに私は静かについていく。これを案内役としてラーゼ様は使わしてくれたんだろう。なら、拒否などするわけ無い。ありがたくその後ろをついて行く。

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