美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H60

 この湖畔の全ての花がこの紫の花粉を出している――そうサポは言った。どうりでリリアがデカ物をボッコボコにしてるのに花粉の濃さが変わらない……いや、どんどん濃くなっていくわけだ。一応視界を確保する魔法も使ってるが、いつまでも持たないし、既に効果的には半分を切ってる。このままでは不味い。とりあえず皆と合流しよう。そうして状況をちゃんと把握しないといけない。既に戦闘になってるし、殆どのパウジーフラワーは滅してる。
 なら声を上げても問題はないだろう。

「全員……ガガ……現状を報告しろ!!」

 マスクのせいでノイズが乗るが、しょうが無い。ずると花粉の向こうから次々と声が聞こえてきた。

「こちらホーム! ベンチの奴がパウジーフラワーに寄生!」
「バッドより、ソックスの奴も同じだ」

 更に何人かが、仲間の寄生を知らせてくる。思ったよりも寄生された奴らが多い。流石に悪い視界の中だ。それに実際、どうやって寄生されてるのかわからない。いや、わからなくなったと言った方がいい。最初はリリアが相手にしてるデカ物が発生源だと思っていた。だが、リリアは次々と復活してるデカ物をぶっ飛ばしてる。そこに隙はないし、落ち度もない。ならどうやってって事になる。

 サポがいればまだ助けられるか? 見てみないことにはわからない。だが、まずはこの花粉をどうにかしないと助ける前に、俺達全員、手遅れになるかも知れない。

「これは――」

 気付いたが、腕に何やら斑点が出てきてた。体の以上は感じない。だが、影響は確実に出てるようだ。マスクしてる意味はあるだろうが、全てを防げてないって事か。ゆっくりなんてしてられない。寄生された仲間の相手をしてる奴らはきっとまだ気付いてないだろう。寄生された仲間は俺達をおそってきてるのだろうか? 実際、同時に相手にするのがいいとは思う。なにせ寄生は早い内に取りのぞければそれが良いはずだからだ。
 進めば進むほどに、奴らの根が体内に広がると予想できる。そうなると、花を掴んで脳天からもぎ取るなんて事はできなくなる。だって根が体の隅々まで這うと、それを抜き取るショックに寄生された側が耐えられないだろう。
 ボール奴はそこまで寄生が進んでなかったからどうにかなった。でもそれでも全身血まみれにはなったんだ。あれ以上進んでるとなると……

「寄生された奴らはどうなってる!?」

 俺は見捨てて死を与えるか、救うかの判断の為にそれを問うことにした。寄生が進んでるのであれば、皆の行動変えなければいけない。救おうとする行動から、殺す行動へとだ。ここで全員が死んだら意味なんてない。寄生されてない奴らを救う為の行動に移るべきかも知れないからだ。

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