美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H42

「完全に気配が消えました」

 そんな事をリリアがいった。俺達はダンプを止めて周囲を伺う。魔物や、リリアが暴れてた所から結構進んで、今や普通に深い森の中に俺達は来てた。いや、かなり前からそうなってたけど、戦闘が激しすぎて色々と無茶やってたからな。木々が倒れまくったり、リリアの戦闘なんてそれこそ地面とかひっくり返してたから、そこら辺はもう森ではなくなってた。だから再びこんな森の中まで来て新鮮というか……不気味というか……既に日は沈んでしまってる。ダンプについてるフロントライトで照らしながら進んでた訳だけど……ここらが限界だろう。てか疲れた。

 それは皆同じだろう。疲れてないのはリリアくらいだ。本当はあの戦闘の後にはもう休憩に入りたかった位だ。今日はもうゆっくり休んで、明日から……でも良かった。なにせここまで来るのは想定よりも早かったんだ。ならせっついて行動することなんか無い。

「別に怪しい物は見当たりません」
「こっちも同じく……てかそんな奥まで照らせ無いっすよ」

 ダンプのライトは強力だが、手持ちになると、そんな強力な明かりは出せ無い。やっぱた出力絞らざる得ないからだろう。けどこれでまともに成った方だ。本能数年前までは、夜の明かりなんて一般庶民は手に出る様な物ではなかった。魔光石なんか使えるのは貴族くらいだったし、 蝋燭を使うのが一般的だったが、今や、スイッチを入れれば、小さな魔光石か家中を照らしてくれる。良い事態に成ったと思う。

 でも流石に、この深い森では俺達が持ってる程度の明かりは直ぐに闇に溶けていく。

「私が照らしましょうか?」
「いや、いい」

 俺は速攻で断った。するとおつきの魔族二人が文句言ってくる。

「「貴様、魔王様の行為を無碍にするか?」」

 重なって聞こえるのかうざったいな。でもしょうが無いじゃん。だってリリアだ。もしかしたら太陽をぽいっと出してくるか知れない。いや、流石にないと思ってる。無いと思ってるが、完全に不安を払拭できないのが怖いところだ。いや明るくなるなら良いじゃんと思うかもだが、俺はボスとして今回の作戦を成功に導かねばならない。そうしないと、いつ俺達の様な外れ者達は捨てられるか分かった物じゃないからな。

 リリアが変な事をしたら、それでまたおかしな事が起きてしまう可能性も否定できない。だからここは自重して貰おう。

「まあまあ、二人とも。今は私は舞おうじゃいの。リリアなんだから、威圧しない」

 そういってリリアは簡単に引いてくれた。とりあえず比較的広い場所をさがそうとしたら、リリアが周囲の大木を一瞬で切り倒す事件はあったが、まあこのくらいなら……な。俺達は三台のダンプを横に一列に並べて、その側でたき火とか焚いて休憩に入った。でっかい木々を切ってぽっかりと空いた空にはでっかい月が……無くなってた。

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