美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H36

「何故だ! 俺はただここに根を張ってるだけだ! それの何が悪い。ようやくだったんだ!! ようやく俺は奴から解放された!! 好きに生きさせろ!!」

 キモい花を咲かした植物がそんなことを言ってくる。そんなこと言われても……ね。既に黒い炎は放ってしまった。さっさと燃え尽きて欲しい。私は何も返さずに、その最後を見てた。けど、炎に包まれた中から、植物たちがこっちに向かって飛んで来た。

(流石にデカい奴らは頑丈……ん? いや、なんか硬質化してる?」

 ただの植物のようだった筈なのに、なんかテカテカして堅そうになってる。それに水分も出してる様な。それで燃えるのを防いだのか。面白い……そうでなくちゃ面白くないよね。私は魔王となって戦うのが楽しくなってる。

「「「この星に、根付かせろ!!」」」

 そんな重なる声と共に、左右と上から伸びたツタが迫ってくる。実際避けるのも攻撃に転じるのも簡単だ。けど……こいつらの言ってる事、興味がある。私はだから何もしないことにした。そもそもがこの森に入ったときから気になってた。この森の汚染具合がね。私やラーゼが親しんでるマナとは違うマナに汚染されてる。多分森って特性上そうなっちゃったんじゃないかな? 私達の影響があるならそこまででもなかったし、いけるところは払ってたんだけど……ここの植物たちは奴らを受け入れたのかも知れない。

 それを確かめるためにも私はその攻撃を身をもって受ける。まずは左右からのツタが私を打ち付ける。本当ならこれで骨がバッキバキになるだろう。けど私の体は頑丈だからそんなことにはなら無い。でもそこに上から更に追撃がきて、私は一直線に地面に落ちる。ものすごい振動と衝撃、かなり深くめり込んだ。きっとクレーターが新たに製造されたことだろう。そして空からレイのミサイルみたいなを撃ってくる。それはやっぱり私の周りで爆発して粒子をまき散らす。これに何の意味が? と思ってると粒子のせいで見づらくなったけど、花達がなんか合体してる。ツタを地面に突き刺して空に立ち、園で買い端を更に大きく肥大させていた。そして何やらその花に何かが降ってきてる。まるで光を取り込んでるかのよう……徐々にその花びらが発光してる。ものすごいエネルギーを感じる。

 そして十分に重鎮したのか、その花びらが大きく空に展開して、こっちを向く。花びらの先がくねって複数体の花たちがその尖端から合体したエネルギーを生成してる。なかなかにヤバそうだ。けど……私はそんな中でも笑ってしまう。ワクワクする。あれはどれだけの威力があるだろうか? 私は耐えられるのか? それを考えると……ついついワクワクしちゃう。こんな私を知ったら、兄様はなんて言うだろうか? 流石にみせられない。

 けど……ね。抑えられないんです。放たれるその力が私に向かってくる。私は両腕を前に出してそれを受け止める態勢を整えた。

「さあ、来なさい!!」


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