美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H16

 フラッシュバンが収まる前に俺達は走り出した。色々な装備でなんとか他種族と渡り合える様になった人種だが、やっぱり正面からぶつかるのは得策ではない。なにせ魔族は魔王の強化でどんどんと種としての強さも高めてる。魔族は世界と言うか、魔王にその存在を全て委ねてる。

 だからこそ、魔族は魔王に絶対服従。魔王が復活したら、その力は寛保されて、魔王の成長と共に、種という団体の力が高まるみたいだ。

 人種は別にそんな事はない。王が強くなったと言っても一人一人の人種が強化されるわけではい。人種はあくまでも技術に頼るしか自分たちを強化する事は出来ない。

 俺とバンセンさんは向かって来てた奴が足を止めてる内にそこを突破する。だが向かって来てたのは半数程度、フラッシュバンも距離が開けば、効果も薄くなる。

「させるか!!」

 そんな事を言って空を飛んでた魔族達がむかって来る。飛び道具とか、それに類する力の使い方みたいなのはしないのか? きっと力を変質させて飛ばすとか、これだけの魔族がいれは出来る奴は居るはずだ。それなのにかたくなにそういう事をしない。違和感ある――

(なら、それを利用させて貰うまでだ!)

 俺は別の立方体を出して投げる。それを見て突っ込んでた魔族が止まって目をつむり耳を塞ぐ。けど外れだ。それからは今度は黒い煙がその小ささに似合わない量の煙を出した。外だが、ここは路地を通ってきた中の密集した建物の一角だ。まあ流石に建物がデカいからちょっとは広々としてるが、魔王区はかなり建物が敷き詰められてるから、密集してれば、それだけ風の通りは悪い。
 今も全然風はない。ならスモークも有効だろう。

「煙幕か!」
「こざかしい真似を」

 こざかしくてもなんでも、サポを救出することが最優先。そもそもが真正面から勝負なんてするわけ無いじゃん。そんなのは勇敢ではなく無謀という物だ。てめーらが強いってわかってるのに、正面からの戦いしか望まないなんてある意味そんなのフェアじゃない。

 弱い人種は弱いからこそ工夫をする。そうやって今日まで生き残ってきた汚い種族なんだよ! 

「やれ!」
「「「了解」」」

 俺は次々に煙幕を撒いた。ドーム入り口までこのまま身を隠して行くためだ。そして更に周囲からは魔族の「ぐあ!?」やら「イテッ!?」やらの声が聞こえてた。周囲に居る仲間達が煙幕の魔族に向かって射撃をしてるんだ。

 俺達には煙幕の中を見渡す為の装備がある。仲間達が魔族の注意を逸らしてる内に、俺とバンセンさんは建物へと近付く。だけどその時だ。

「よけろ!!」

 その言葉に俺は体を後ろにながす。一瞬見えた赤い瞳。そして何かが目の前でぶつかったかのような音が響く。まさかバンセンさんが俺をかばった? 一体、目の前に何がいる?

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