美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H14

 魔王国は通り抜けるだけだ。その筈だった。だが今、俺達は魔王国町中を駆け回ってる。

「どうだそっちは?」
『対象は大通りから路地に入ったようでっせ』
「包囲網を崩すなよ。確実に追いつめろ」
『『『了解ボス』』』

 無駄に口まで覆ってるコートの左側にはボタンがあった。そこを押すとどうやら通信機能がオンになるらしい。確かに作戦中にわざわざそれようのカードを出すのもおっくうだ。それに絶対に両手が空いてるなんて事もないしな。これを片手は必要だが……もしかしたら何かキーワードのような物を言えば、その機能が反応するとかあるのかもしれない。

 取説が欲しい所だが……そんなのは無かった。いや、もしかして……俺は自身に生えた角を触る。ほかに何か関連がありそうなのってこれしかない……これは俺の頭と同化してる。もしかしたら知識とかもこの中にあったり……

(だが、今はそれどころじゃないな)

 そう思って俺は魔王国の通りの先を見る。飛んでてくれたら、逆に追いかけるのは難しくなんかない。いや、相手は魔族だ。実際飛べると考えるべきだろう。今は、俺達の追跡を巻くために人混みやら、視界が遮られる路地裏とかを進んでるに過ぎない筈だ。

 俺達を巻いたらそれこそ飛んでどっかの建物の高層にでも逃げ込めばいい。だがそんな事はさせない。
事の始まりは対数分前。なんかいきなりサポがさらわれた。まあ確かに、なんか貴重な生き物に見えるとは思う。なんかふわふわしておいしそうとかいう理由かもしれない。

 なにせここは魔王国だ。魔族は魔物とかを食べるとかも聞くしな。魔物を食べるのなら、ほかの種族を食べてもおかしくはない。まあ単にサポが食料に見えたって線が大きい気はする。

「サポさんは何か攻撃手段とか、自身で脱出する術はないんですよね?」
「ああ、あいつはそういうのは得意ではない」

 バンセンさんにその確認をとる。まあさっきも聞いたんだが……一応ね。でもどうやらサポの位置はバンセンさんにはわかるらしい。かなり素早い犯人を追いつめる事が出来てるのも、バンセンさんがサポの正確な位置を知れるためだ。

 あんまり目立つ行動はしたくないから、俺達は二人世間話の体に擬態しつつ、そのポイントへと足を進めてる。サポの誘拐時にパパッと動いた奴らはしょうがない。

 あの時は誘拐の方のインパクトが強かったし、全員暗殺とか薄らぐらい仕事を生業にしてる我ら第555独立遊撃部隊だ。散るときも一瞬。後は俺がこうやって人波の中から自然と指示をだしつつ、追いつめる。勿論俺はここの地理を知らないから、一人には高い建物に上って地理を把握して貰ってる。

 そうしてバンセンさんと二人、他愛もない話をしつつ、俺達はドーム型の建物の前にきてた。どうやらここに犯人は逃げ込んだようだ。中からはなんかとても様々な声というか……咆哮が聞こえる。やっぱりサポは珍獣と間違えられたんじゃないだろうか? そんな推測が確信に変わりつつある。

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