美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H11

 俺の角に次行く場所が降りてくる。それは美しい声で聞こえる。その声を聞くと俺のすさんだ心がほわっとなる。

「かしこまりました」
「ボス……なんか気持ち悪いぞ」

 五月蠅い。角のないお前達にはこの満たされたかのような幸福感かわからないからそんな無粋な事が言えるのだ。まあだが今の俺は満たされてる。だからこそ、こんな無粋な言葉にも心をみだれさせることはしない。

「いいからいくぞ。我らの任務の全容がわかった。俺達向きだ」
「その角、大丈夫なんすか?」
「問題ない。寧ろ一つ上に上がった感じだ。これをもたらしてくれたラーゼ様には感謝しかない」

 これで俺は唯一無二の存在になったわけだ。それは誰だって憧れる物。自分が特別だと、そうありたいと誰もが思う物だろう。それに今、俺は成った。こんな角を持った人種が他にいるだろうか? いやいない! そして、それをもたらしてくれたのが、あのラーゼ様だ。

 これを直接もたらしてくれたのがラーゼ様なわけでばない。だが、この角が頭に同化したことで、俺は其れを確信してる。これを授けてくださったのが、ラーゼ様だと。


 俺達は場所を移動する。黒いコートの集団はかなり異質に見えただろうが、気にしない。ついたのは駅だ。だが一般人か使ってるホームとは違う場所を目指した。人種の街の間を結ぶ列車とは違って軍用のレーンは別にある。俺故知が用があるのはそっちの方だ。
 そして底には二人の人物がいた。一人は二メートルいや、ヘタしたら三メートルはあるかのような縦にも横にも大きい奴で、もう一人は逆に小さい。それこそこぶし大の丸々とした綿みたいなのだ。それがなんかネクタイしてる。

「あなた方が第555独立遊撃部隊の方々かね?」
「その通り、私がこの第555独立遊撃部隊のボスをしてる。あなた方が協力してくれる他種族の方か?」
「ええ、その筈です。私は『ルードゥーク種』のバンセンです。こちらは『花粉種』のサポです」

 紹介された花粉種ならマコさんはぺこりと体全体でお辞儀をする。するとその時『よろしくお願いします』と聞こえた。

「今のは……貴様等聞こえたか?」
「なにがですボス?」

 どうやら俺以外には今の言葉は聞こえなかったらしい。やはりこの角の影響か? 

「アナタだけ、マナの感受性が強いので、届ける事が出来ます」

 そういうサポ。なるほど、やはりこの角が役立ってるらしい。特別感に優越感が沸き立ってくる。

「ふふ、ふふふふふ」

 思わず眼帯で覆われてる左目を押さえてそんな含み笑いをしてしまう。ああ、なんという事だ。この格好もますます様になって来たんじゃないか? ちょっと引かれてる気もするが、俺達はバンセンとサポを咥えて列車に乗り込んだ。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品