美少女になったら人生イージーモードだと思ったけど案外そうでもありませんでした。

ファーストなサイコロ

H2

 私達は猥雑に浮いてる正方形の物体に近付いてく。ここの壁は特殊で沢山の立方体がびっしりとはまった様になってる。そしてそれぞれが淡く光ってこの空間を照らしてみたいな? まあここはエデンの中枢に近いからね。外とはかなり違っているのだ。

 正方形はでかいから床までは降りてこれない。ふわふわと浮いてる正方形は多分安全装置が働いて床にはつかないようになってるんだろう。
 でも問題なんてない。

「ちょっと階段ちょうだい」

 そんな私の指示に、この部屋全体が答えてくれる。壁から出てきた立方体が組み上がって階段となってくれるのだ。それに上がって更に私達は正方形へと近付くよ。

「随分と育ちましたね」
「育つとか、そういう風に言わないでよ。育ったんじゃなくて、最初からこの形なのよ」
「そうでしたね」

 一つの正方形のなかにはおよそ百体のそれが入ってる。それは人型で歳としては成熟した二十代の男性の肉体をしてて筋肉質だ。でも髪も顔もないから個性と言う物は存在しない。それに実際はこれは骨と肉で出来てる訳じゃない。

 もっとこれは機械的な物だ。言うなればアンティカが近い。でももっと魔法的な物を混ぜてる。アンティカが機械的なのはそもそもが羽持ち達が後生の人種に残したからってのが大きい。そして何千年という年月の中で復活を果たしたが、変化はしてない。

 でも今、アンティカにも変化が訪れたのだ。この『アンティケイド』は様々な種の技術というか、この数千年の積み重ねた情報を元にして作れたものだ。

 まあアンティカを大量に生産すれば、それだけ強力な軍団が作れるのも確かだが、アンティカはデカいからそれだけ材料がいるし、貴重な人材も大量に投入しないといけない。それに流石にこれからの戦い、アンティカなら圧勝できる訳じゃない。

 寧ろアンティカでもかなり危険だ。脱出機構はつけるが、それでも絶対に助かる保証はない。それに消耗戦ってやつば私はしたくない。

 そこでこのアンティケイドなのである。こいつらは案外安価に製造できてる。大事な部分はアンティカと同じ材質を使ってるが、それ以外は魔法的に構築してる。マナを使って強度を高めて、そしてフレームさえ無事なら、再生能力もあるのだ。

 そしてこの大きさなら隠密行動もできる。それにアンティケイドは人種と違ってマナの通りがとてもいい。まあ不気味なのかたまに傷だけど、これにも理由はある。なんとこいつら、見た目を自由に変えられるのだ。真っ白な肌をしてるのもその為。どんな色にもなるためだ。

 けど残念なぶぶんばある。それは羽は実はただの飾りだ。小さすぎて飛ぶことは出来ない。ならなくせ……って思うんだけど、なんか羽持ち達が変な抵抗してるのか、絶対に消えないんだよね。まあ変装するときにはなくなるんだけど……だから良いかって事でこのままだ。

「まずはこいつらを世界に解き放つ。そして残ってる全部と始めましょう。終末戦争を……ね」

 ここには既にこの正方形は百ある。一つに百体いるからこれで一万だ。一万程度では上位を相手にするには足りないが、全部壊される前に順次生産して投入である。どこかとどこかが戦ってる間に別のところが漁夫の利を狙う。

 それはどうしても起こるし、私なら積極的に狙う。でも、既に色々と陣営は固まってて、後はどことどこがどのタイミングでぶつかるかでしかない。ならこちら主導権を握ろうじゃない。そしてそれはこの世界の全てを同士に巻き込まないと漁夫の利を狙う奴が出てくる。
 だからこのアンティケイドを使うのだ。

「役目を果たしなさい」

 私は手をついた正方形の中のアンティケイド達へとそう言うよ。そしてこの日、世界大戦の日は静かにきられた。初めて……そう初めて人種から世界への宣戦布告だ。

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